レイモンド・メリマン 週間コメント4/18【金融アストロロジー】●4/22の満月 ― みんなに降り注ぐエネルギー(フツウの戦士サンたちへ♪)

April 21, 2016

★ 蠍座の霊的原型ー死と再生・変容と統合の観点から

scorpio


        .... 地性宮である牡牛座の対向サインである蠍座は、水性の星座宮です。けれど蠍は、湿潤な土地に棲むもの、熱く乾ききった砂漠に生きるものなど、多様なありか たをする生きものです。 同じ水性のサイン、蟹座や魚座の持つ、常に水に囲まれたイメージとはどこか違っています。

蠍座の水は「内なるもの」です。 蠍座は、その存在の中に燃えさかる炎と豊かな水の両方を同時に抱えているんですね。火と水は内側で溶け合ってひとつになるのではなく、また どちらかが一方を消してしまうこともありません。 存在ある限り、この互いに異なる要素は生と死の永遠のダンスを踊り続けます。ある時は背中合わせに、またある時は抱き合いながら。。 そして、そのダイナミズムが、時にこのサイン特有の強烈な感情を生み出します。

        牡牛座の中心核にも、激しいマグマがありました。 それは地表を温め、生命を保存し、自己増殖していこうという本能に基づくものでした。対向の蠍座では、生殖というテーマが出てきます。黄道12宮の8番目のサイン。ここまで成長してきた意識の中で、ここに来て初めて「他者」と一体となって新しい生命を生み出そうという欲望が出てきます。 けれど象徴的に言えば、地球の生き物にとって生殖とは「小さな死」を積み重ねていくということでもあります。多くの生き物たちにとって、命を次代に伝えることは、自らの肉体としての死期が近付いたことを意味します。 他者とひとつになる悦びや快楽の奥底に は、自らが限られた命であることを存在のどこかで知り抜いていて、その宿命から生まれる悦びも哀しみも怒りも全てを闇に溶かして燃え尽きること... そして、 やがて真っ白な灰の中から起ち上がり、全く新しい「自己」に生まれ変わりたいという切望があると言えるのかもしれません。そこから生まれ落ちた可愛い子供たち は、その真新しい自己の象徴でもあります。 (それは人間にとって、また新たな悦びと苦闘の始まりでもあるのですが・・・)

        エボリューショナリー・アストロロジャー、故ジェフリー・W・グリーンはその著書『PLUTO — The Evolutionary Journey of the Soul』 の中で、蠍座と冥王星のもたらすこうした性のダイナミズムを究極の『エゴの死・・・そして再生の象徴』と表現しています。それは、成長して強大な他者の存在と出会い、自分という自我の限界をイヤというほど知った意識が、どんな犠牲を払ってでも変容し、限界を超えて進化したい、本物の「力」と一体となりたいと願う意識です。それは傷つくこともいとわずに他者との関係に入っていこうとする、蠍座の勇気。それは支配・被支配、サディズム・マゾヒズム、ルサンチマンや報復願望、自己否定、貪欲さや罪悪感など、人間が創り上げた関係性の百花繚乱を踏み越え、その先を目指すこと。その原動力となっているのは、火と水の永遠のダンスから醸成されるパワフルな精神と情念の力 — パッションに他なりません。

けれど、その反面蠍座はとても大きな怖れも抱いています。彼/彼女の背中には、いつも無意識のうちに「死」が宿命の友として寄り添っています。その友は蠍座に大きな力を与えてくれるけれど、もしこちらが背を向ければ、それは振り払ってもまとわりつく見えない虚無となります。傷つくこと、失うことを怖れるあまり、自然な感情の力を抑圧し過度にコントロールしたり、マゾヒスティックにその虚無を受け入れたふりをしていると、その力はねじれ、毒針となって自分と他者の両方を刺すことになるかもしれません。

        以前メリマンさんは『牡牛座は無理に押しまくられると報復的になる』と説明していました。これは、牡牛座にとって自己保存のためにひとつひとつ対象を吟味し、納得することが必要だという意味です。つまり、あくまで自分の世界を邪魔されることに対する報復でした。ある意味、そこにはまだ自分しか存在しません。言い換えればそこに在るのは自分と、自分の生命力を維持・拡大するための能力・資源・資産です。

けれど蠍座の報復は、他者との関係性とその葛藤の中で起こってきます。対象と対等に溶け合い再生していくことが叶わず、自他の限界と無理解によって「支配するか・されるか」のパワーゲームに陥ってしまったとき。 そしてその結果裏切られたと感じたとき、深い傷を負ったとき、蠍座の抱く火と水は、容赦無い氷の炎に変容します。 また蠍座は、「他者の能力・資源・ 資産」を司るとも言われています。 蠍座が「これは自分自身を超える「力」だ」と認めた何か。それと一体になること、真に溶け合うということは、能力や物質的なリソースをも他者と分かち合い、そこから何か全く新しいもの、新しい価値を創造していくことを意味します。

お互いに本当の意味でこころを開き、対等に信頼し、変容し合う関係。 現時点のわたし達人間にとって、それはとても難しいことです。 蠍座のように、対象を深く貫き熱く感じようとする魂を持ったまま、他者と深くふれあっていくことを本気で試みるなら、それは莫大なエネルギーと集中力を必要とすするでしょう。その意味で、蠍座の本質はなかなかのチャレンジャーだとも言えます。そしてだからこそ、そのぶん怖れるこころもまた強いのかもしれません。その深い部分に抱かれた怖れこそが、蠍座を秘密主義のサインとしているようにも思えます。 

でもこの先、集合体としてのわたし達がそんな難しいチャレンジに成功し得るとしたら…? 変容と統合の至福を通し、これまでとは異なる視座を生み出すために、わたし達はまず、マジカルな永遠の挑戦者、蠍座という星座宮の壁を突破していかなければならないでしょう。

蠍座は、流血の闘技場に咲く慈愛の花です。その一輪の花を咲かすには、たとえ先が見えなくても、これだと感じたらひるまず深淵にダイブするしかありません。

わたし達全員が、チャートのどこかに蠍座を持っています。たとえ主要な惑星が入っていなくても、そこは空ではありません。そこには無数の小さな星々がひしめきあい、暗黒の彼方から囁きかけています。その囁き声は、ルネーションやトランシット、プログレッションでハイライトされるとき、きっと何処からともなくこころに滲透してくることでしょう。それもまた、わたし達の内なる大切な声です。

普段はこころから消してしまいがちな この死と再生の歌声に、そのときそっと耳を傾けることが出来るなら…。




have a great trek!!!★


hiyoka

hiyoka_blue at 21:00│Comments(4)TrackBack(0)星読み随想 | パーソナル・アストロロジー

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この記事へのコメント

1. Posted by LoneWolf   April 22, 2016 08:06
5 hiyokaさん、おはようございます。はじめまして。

新月・満月の記事は、いつも、visione quest の真言として役立たせていただいてます。ありがとうございます。

さて、、、今回の蠍座の記事、、、次元の異なる視点視座からの福音となり一滴一滴(ひと文字ひと文字)、沁みてます。

わたしには、両極端な気質と秘密主義の気質があり(ちなみに、MC蠍座 9室火星蠍座 10室金星蠍座と木星蠍座)、幼少の頃から、世間や社会で過ごすことの息苦しさに苦悩してました。また、ここ数年、幾度も繰り返すアイデンティティの破壊と創造。歓びがある分、苦悩の深さも(苦笑)。ただ、ここ数ヶ月は、少しずつ、何かがカタチに。そこに、今回のhiyokaさんの記事で、わたしの在る空間そのものが明瞭になった感覚です。とても、こころが軽くなりました。ありがとうございます。ひととの「ご縁」とは、偶然の必然、… そう実感してます。よきご縁をありがとうございます。

いまだ、突き詰めるものの答えはわからないですが、「そうしたい」を羅針盤に昨日の自分より一歩、今より少し先へ、と。「終わるから始まるのかも、、、」とワクワクしながらw。

ココロに触れる、ステキな言葉をありがとうございました。

では、hiyokaさんの日々に幸あらんことを願って。。。

LoneWolf
2. Posted by hiyoka   April 22, 2016 23:41


LoneWolfさん、はじめまして。コメントありがとうございます!^^

新月・満月の記事は、星々が織りなす無数の可能性の中から自分のフィルターですくい取れるだけのものをギュッと詰め込むような形で書いています。なのでついつい長くなってしまうのですが、それをいつも読んでくださって、そしてご自分のために役立ててくださっていると伺えて、本当に嬉しいです(^_^。

蠍座の要素を強く持つ方は、こころに屈強なバネを持っているようなもの。たとえどんなに深い苦悩で固く縮んだとしても、それを次の伸びしろのエネルギーにすることが出来るのだと思います。大切なのはそのバネが伸びていく方向性ですよね。きっとヒントは、「世間や社会で過ごす息苦しさ・・・どこにもフィット出来ない」という幼少時からの感覚がもたらす何か。苦悩・・・というよりもっと清冽で精妙な何か。。 そこから「そうしたい」そして「WHY」を追求し続けることなのかな?9室に蠍座火星をお持ちなら、直観的思考のファイターかもしれませんものね。

そうそう、もしご自分でアストロロジーを実践されているのでしたら、ご参考までに。
記事で少し触れたジェフリーW.グリーンは、月のノースノードのハウスとサイン、そしてそのルーラーのハウスとサインが今生向かうべき方向性のヒントになると言っています。これも様々な応用の利く、基本的に役立つセオリーではないかと思います。

終わらないと始まらない・・・これ、あんまり有り難くないことが多いけど、真実なんですよねw。LoneWolfさんの中で、ここにきて新しくカタチになり始めた何か。それがどんどん脱皮しながら大きく成長していきますように...!

Great trek!!!☆
 
 
3. Posted by LoneWolf   April 24, 2016 15:52
hiyokaさん、こんにちは。

お礼をいいたくてコメントします。

この2日間、、、月のノースノードと、そのルーラを調べ(サビアンシンボル含め)、示されたキーワードと子供のころからの過去を振り返って浮かぶキーワードとを並べ、「そうしたい」と「Why」を繰り返し深めていきました。

すると、「あっ!」という感覚とともに、これからの方向性が。。。 道のりに灯りがともると、苦手な課題(行動目標)も「自分の居場所を得るに必要な訓練過程」と、やる気が違いますねw

今年9月から流れがかわりそうだったので、今、気づけて、本当によかったです。その灯りにむけ、準備できます。

新月・満月の記事含め、いろいろとありがとうございました。


桜の花びらが舞い散り、新しい季節へと変わり始めてきました。体調崩しやすい時機ですので、お身体、ご自愛くださいませ。

それでは。


LoneWolf
4. Posted by hiyoka   April 24, 2016 18:33


LoneWolfさん、お返事ありがとうございます。

互いに見知らぬ戦士さん達が、それぞれの旅の途上でホッと羽根を休めたり、内側を見つめて何か発見したり・・・ そんな切っ掛けになる場を作れたらいいなと思いこのブログを始めました。

なので、大切な節目に何かしら探求のお役に立てたとしたら本当に嬉しいです。
秋に向けて、さらなる脱皮と発見の祝福が沢山ありますように・・・!

Great trek!☆
 
 

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