レイモンド・メリマン 週間コメント8/6【金融アストロロジー】レイモンド・メリマン 週間コメント8/13【金融アストロロジー】

August 10, 2018

○8/11の新月・日食―みんなに降り注ぐエネルギー(フツウの戦士サンたちへ♪)

お知らせ

  突然ですが8月13日付のメリマンコラムをUPしたら、約1ヶ月ほどこのブログも夏休みをいただくことにしました。といっても7年前の夏休みのときは引っ越しのために全休だったけれど、今回はただ自分にもう少し時間を与えるためのお休みなので、何か急に思い付いたりすれば唐突に記事をUPする...なんてこともあるかもしれません(まだ全然読めずにいます)。 もしそんなことがあれば TwitterやFBでお知らせすると思いますので、良かったら覗いてみてください。m(_"_)m

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    新月は前回からの課題を経て、次の新月までの約1ヶ月をかけて取り組む新しいテーマが開示される時。 そしてこれは生まれた星座に関係なく、地球に生きるわたし達みんなに平等に降り注ぐエネルギーです。わたし達はこのエネルギーを使って日々、自分なりに考え行動していきます。その現れはひとの数だけ様々ですが、やがてはお互いに影響しあいながら、社会・国・世界の潮流を作っていきます。これは言い換えると、わたし達を取り囲む「空間の雰囲気」です。星読みの世界から見れば、誰もがその中で生き、そのテーマに呼応して・・(素直になったり、反抗したり、無視したりしながら・・)自分なりの人生を創造していると言えます。 その意味でも、刻々と変容していく惑星エネルギーの流れをおおまかに知っておくことは、きっと何かの役に立つのではないでしょうか。
    例えば... シンボルの光景やキーワードを覚えておくだけでも、何かに迷った時の指針になるはず。ではでは今月も行ってみます!(^_-)
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★新月タイムスケジュール★
願い事やアファメーション、ヒーリング・メディテーションなどしたい方は、もし可能ならこの時間帯に合わせてみてください。エネルギーの高まりを感じとれると思います。(^_^)

【地方平均太陽時: ソーラータイム(LMT) 】
東京・関東ローカルで  8月11日19:17前後、北海道周辺で 19:21前後、関西方面(日本標準時ならこの時間)は18:58前後、沖縄周辺では18:27前後に獅子座 18°41’で新月(部分日蝕を観測出来る地域はヨーロッパ北部、アジア北部)となります。

前回の新月のテーマについてはココ、満月についてはココをご覧ください。

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Sabianシンボルによる【 新月がもたらすテーマと挑戦 】
*ここではデーン・ルージャー(ルディアー)版やマーク・エドモンド・ジョーンズ版の解釈ではなく、透視家エルシィ・ウィーラーの伝えた象徴の言葉をそのまま書き写した「オリジナル版サビアン・シンボル」を使ったブレイン・ボヴィの解釈を参考にし、アスペクトを加味して読んでいます。
*テーマはひとつの意識の流れを表したものです。この流れは順不同に現れたり循環したり、ひとつだけ突出して感じられる場合もあります。また、解釈の内容はその時々のアスペクトを意識しながら抽出しています。


【太陽・月 獅子座18°~19°― 発効期:8/11~9/9 】
   "A teacher of chemistry"
化学の教師

   "A houseboat party"
ハウスボート上のパーティ

【テーマがもたらす雰囲気と精神の挑戦(順不同)】
※ひとによっては1週間〜数日前から前倒しで感じられると思います。

→★「物事に絶対はない」ことを受け入れていくためのレッスン
→★これが "真実" だという "思い込み" を全く別のアングルから精査する
→★あらゆる種類の "欺瞞" が露呈する流れと覆い隠す流れとのせめぎ合い
→★お仕着せの "べき論" に縛られ窒息しそうな自分の一部を見出し癒やす必要
→★安全のために保護色をまとって周囲に溶け込む機転
→★理路整然と説明のつく人間関係の一方で血の繋がりに感じる
  気安さと反発の不思議さ
→★呼吸に注意し頭を冷やして臨機応変に事に当たる
→★感情の暴発を避けるために「建前」を安全弁にして踏み留まる
→★理由や思惑はどうあれ、それぞれの立場にふさわしい
  「正しいこと」をしなくてはならないという強迫観念
→★自分が自ら参加している人間関係の成り立ち、利害の構造、仕組みを
  大きな枠組みで捉え直す必要
→★熱に駆り立てられた信念の言動が一見おだやかな水面に津波を起こす危険
→★不確実な自分を埋めるために仮面としてのアイデンティティを強化する
→★バラバラに断片化しつつある思考、感情、体感の統合を図る必要
→★気のおけない集まりで交わされる軽い会話の中に潜む大切なヒント
→★休み、眺め、感じるとき と 流れ、動き、働きかけるときを区別する
→★「最悪の事態を避けるための虚構」が社会を支えている事実を見る
→★狭くなる視野、頑なな想い、厳然と立ちはだかる障害
→★「何もしないこと」の中に包み隠された「豊かさ」の価値に気付く
→★物事や思考がひしめき合う中で
  自分の進路(または退路)を瞬時に見定めていく・・・→



エネルギーのポイント:前回の新月『踏みだし、整える。踏みだし、整える』
                    ↓
            今回の新月自己の内部で行うカミングアウト
                    ↓
            次回の満月それぞれの狭き門をくぐり抜ける


2013NMFM


        7月13日から始まった3回の蝕の夏。前回の新月 ― 最初の日蝕のとき、こう書きました。

『この時期 ― 今年の夏 ― は、わたし達それぞれにとって今年中盤の大切なチャレンジの時間帯になるかもしれません。 前回の新月期で集合体としてのわたし達がひとつのゲートをくぐったとすれば、その新しい第一歩がここから始まるからです。

けれどその一歩を踏み出すにあたって、ひとによっては何かを失ったり断ち切られたり、あるいは自ら立ち去ったり終止符を打ったりと、厳しい経験や決断の道を通るひと(またはすでに渦中にあるひと)がいるのではないかと思います。そして、手探りながらもより新しい生き方を求め始めるひとも。ここから先は、紆余曲折。高低差のあるトンネルを疾走していくように感じるひともいるでしょう。あるいは、思うにまかせぬ日々をメランコリックな気分で過ごしていたら、ある日突然これまでとは違うところにいる自分を見出したり...または自分の場所を思い出したり(外界からか?内側からか?)。また、海王星の影響が強ければヒタヒタと滲透するような感じでいつのまにか現実感が薄くなっていき、見えない水の中を泳ぐように生きている自分に気付く。けど突然ステンと転んで「あれ?」となったり。

本当にひとそれぞれ、いろんな体験の仕方があると思います。けれどたったひとつ言えるとしたら、もう後ろはふり返れないかも...ってことかな。たとえ後ずさりしているつもりでも。』


partial-solar-eclipse


        そして、もうあと少ししたら... とうとうこの夏最後の部分日蝕がやってきます。といっても日本では土曜の夕刻で、今回も太陽は西の空に沈んだ後です。見ることの出来ない部分食ということで、日蝕といってもあまりピンとは来ないかもしれません。けれどこの最後の蝕は、地味ながらわたし達それぞれにとって大きな意味のある「分岐点」の役割を果たすかもしれません。特にこの夏に入ってから苦しい思いをしてきたひと、環境や状況が一変したひと。あるいは仕事、家庭、恋愛など様々な体験を通して自分自身の立ち位置が不安定に感じられるひと、漠とした不安を抱えているひとにとって、今回の蝕は、静かにアイデンティティの再構築を迫ってくるようなところがあります。

でも、アイデンティティといっても今流行りの「アイデンティティ・ポリティクス」的な意味(人種・性別・性的傾向・国籍・宗教・信条・主義主張やイデオロギー・社会階層・家・社会的役割や立ち位置などによって成り立つ「自分は○○である」)とは違います。

おそらくそれは、もっと素朴で深くて根本的な問い『自分は誰で、何のためにここに生まれ、何をしたいのか?』そして『今、何をしようとしているのか?』に対し、今の時点であらためて明確な答を出してみる行為。そしてそれを、「今の時点での答=自分」としてお腹にきちんと入れ直すこと。それは短くてこれから半年間、長くて2020年~21年、底流の想いとしては2024年まで、わたし達それぞれを芯で支え続ける原動力になっていくでしょう。紆余曲折ある中で、何があっても何もなくても、けっして折れることのない柔らかな存在として在り続けるために。


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  その答は、ひとによっては「ことば」でさえないかもしれません。今はことばではとても言い表せない何か。でも確実に「わたし」の中に存在し、求め続けている何か。これまでの人生や幼時体験の中で得られなかった愛や幸せやそんな種類の何かではなく、そのもっと奥にあって「わたし」を生かしているもの。それが様々に形を変えて人生に立ちはだかり、経験を創り、今ここまで自分の生を導いてきた... そんな何か。あるいは、その中に見え隠れするもの。または、そのしっぽ。そのしっぽの先を、掴んでみる。うん、何だかわからないけど、ある。きっとこれからも、ずっと。それと一緒に、在り続ける。どんなときも。そんな感じ。。

あまり上手くは言えないけれど、なんとなく伝わるでしょうか...?

        ところでこの日蝕のサロス・ファミリーは155。その誕生は1926年6月17日で今回は6度目というまだ若い蝕です。当時のサビアン・シンボルをひとことで表せば「重苦しさや疑念に打ち勝って鍛え上げる人間の素質」。また、このファミリーの特徴をアストロロジャー バーナデット・ブラディは『それまでの人生プランやライフスタイルに突然の混乱、または崩壊が起きやすい。この蝕に影響を受ける当事者にとっては、今まで自分を支えてきた既存の生活構造が壊れ、人生の方向性が変わることに繋がる。だがその混乱が収まった後には長期的な再建の時が始まり、その結果として人生の広範囲にわたる全く新しい形がもたらされる』と評しています。


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        ではこの新月/日蝕図をざっと見て目についたところに少し触れてみます。今回の新月図には前回の満月/月蝕図のような特別に目立つ強力な惑星アスペクトがあるわけではないけれど、興味深い点がいくつかあります。まず、アストロロジャー E.フランシスが「事実上の21世紀の始まり」だったとする1999年8月11日の日蝕と同じ位置で蝕が起きること。サロス・ファミリーは異なるけれど、いずれにしても19年という短い間に全く同じ位置で蝕が起きるのは大変珍しいことだそうです。当時の日蝕は火星、天王星、土星とグランドスクエアを形成する、とてもダイナミックなものでした。そしてそれ以来、獅子座18°〜19°はいわゆる「クリティカル・ディグリー」つまり大きなインパクトと意味を持つ重要な度数とされています。ちなみにこの度数は3.11の東日本大震災のチャート(震源地三陸沖)のアセンダントでした。

また、今回の新月図のアセンダントは今年2月16日に部分日蝕が起きた度数でもあります。なのでこれもまた、半年前に撒かれた何らかの種子が再び発現する要因となるかもしれません。なので興味あるひとは、もう一度当時の記事を読んでみてね。もしかしたら何か思い当たることがあるかも? 『○2/16の新月・日食―みんなに降り注ぐエネルギー』 


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★8月新月・日蝕の星模様とチャレンジ★

  上記シンボルのテーマを背景として、瞬間的に個人や集合体の無意識へのプレッシャー、または力付けになるかも?なアスペクトをちょっぴりかいつまんで。これでも多いかもしれないけど、実際にはもっと複雑。ここはざっと見て大体の雰囲気を感じつつ、もし自分のネイタルに関連しそうな項目があればこころに留めてみてね。

・小惑星アグニが天頂付近に来るなど火性の要素が多く、天王星とテュフォンのオポジションも継続中なので、引き続き各種の熱や火の気、事故や災害、それらを大事にしがちな固い思い込みや散漫な注意力には気を付けて。

太陽・月・パラス・水星がコンジャンクト(ジュノーと木星にはTスクエア)
 +アスボルスから冥王星にYOD

全ての文脈がポリティカルな雰囲気を帯びる傾向、戦略的なものの捉え方、プロパガンダ、巧みな「共感」の演出で他者のこころを操る、心地良さや快適さに魅了される、または肉体性への回帰を図る必要、自由と自己責任の問題、愚鈍なまでの誠実さ、予兆を感じる能力が身を護る、自分を省みずにやり過ぎる・こだわり過ぎる・尽くし過ぎる・気遣い過ぎる傾向に注意 etc.

金星・土星のスクエア
条件付きの愛情(してもらう・してあげるのバランス)、マウンティング、自分らしさを保つための戦略、公私の区別に関する悩み、壁を乗り越えてオープンマインドを保つ挑戦、ひとりでいることの心地良さと満足感 etc.

土星・天王星のトライン
現実に役立つ新しい機能の発見、アイデアまたは構想を形にする能力や機会、新たな環境に適応していく力、理性と欲望のせめぎ合いに折り合いをつける etc.

木星・海王星のトライン
弱者への共感と同情、善意と寛容さ、遥か先を行くインスピレーションが溢れる、アート、パフォーマンス、何も考えないまま行動してしまう傾向、動かされやすい精神状態、中毒や依存、自分を護るための教条主義、人間性と獣性の共存、奇妙な想いや思想に取り憑かれる  etc.

土星とカイロンから新月にクァドリフォーム
 新月とジュノーから土星にクァドリフォーム

不安定になりがちなこころに秩序を与えるための試練、浅い呼吸に注意、自分自身や自分の言いたいことを上手く表現出来ないというフラストレーション、休息の必要、変化への戸惑い、粗さから精妙さへと移行する際の混乱、ユーモアで乗り切る etc.


≪その他、注目期≫

8月19日 水星順行 獅子座11°32’~(9月2日シャドウ抜け)
       木星・海王星 トライン 蠍座・魚座15°台
8月25日 太陽・土星・天王星 グランドトライン
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8月26日 魚座3°12’で満月! 20時56分 
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8月27日 土星・天王星 トラインのニアミス 山羊座・牡牛座2°台
       木星・アグニ コンジャンクション, イクシオン・カオス オポジション
       OOBの火星順行 23時05分 山羊座28°36’~
9月 3日 木星・土星 セミスクエア
9月 6日 土星順行
9月24日 火星OOB終了!



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★8月新月・日蝕のサビアン・シンボル★


ベースとなるシンボル:獅子座18°『化学の教師』

        化学の教師。それは対象となる物質の、表面からは見ることの出来ない属性・組成、性質や構造を教えてくれる存在です。分子構造から原子へ。また物質と物質が出会い、互いに作用し変容して新しい物質が生まれる「化学反応」の仕組みも教えてくれます。

一方、ウィキペディアの説明を借りるなら『化学とは有限な元素が組み合わさった無限の物質が持つ多様性を取扱い、さらに化学そのものが新たに物質を創造する役割を担うこと。…化学物質は原子・分子・イオンなどが複雑に絡み合いながら作られるため膨大な種類にわたり、その全てを含む壮大な物質世界・生命世界が対象となる』のだそうです。


lab


        有限な元素の組み合わせによる無限の物質... 多様性... 新たな物質の創造... 複雑な絡み合い...良く考えてみると、それはわたし達のこころの働きそのものかもしれません。そういえば、原語の "chemistry" は化学を指すだけでなく、人間関係に生まれる「相性」とか不思議な親和力を意味することばでもあります。 あるモノ(者)とあるモノ(者)が出会い、表面からは見えない互いの性質や要素が反応しあって何か特別なものが生まれる…。惹き合ったり反発しあったり、ときには対消滅したり。。

ならばきっとこの教師が伝えるレッスンは、「物質」のあらましだけではないはず。わたし達が何か(誰か)に出会い、多様な反応を起こす。思考や感情が浮かぶ。そしてそれは、潜伏する全ての内的・外的要因の刺激を受けながら「ことば」に翻訳されてコミュニケーションが生まれていく。こうして新たな関係が創造されていく。。  そのとき表面下で起きている化学変化、つまり「 わたし」という「意識のシステマティックな働き」とはどういうものなのか? その構造はどうなっているのか? なぜ「わたし」はこういうシステムで成り立っているのか? 化学の教師がわたし達に与える知的挑戦の究極は、こうした視座を学ぶことにあるのかもしれません。

そしてこれは、わたし達が創造している社会構造や人類の営みそのものに関わることでもあります。何故なら... 人間関係も、社会との関わりも、ひいては「人間ってこういうもんだよね」といった、わたし達が何かを認識するときに使う全ての「型」は、わたし達それぞれの意識から始まっているのだから。。


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ところで、サビアン・シンボルは黄道帯360°を巡る意識の曼荼羅とも呼ばれますが、先へ先へと回転していく運動だけではなく、それぞれの度数がみな互いに無数の有機的な繫がりを持っています。その中でもアングル関係(90°、180°、270°)は反発や補填、方向付けや裏付けとなるような意味を隠し持っているとされるのですが、特に180°の対向関係にある度数のシンボルはそれぞれに「同じ軸上の "力" だけど観点が変わるとこう見える」「こんな拡がり方をする」という対称性を見せてくれることから、ペアで見ることによって深みが出てきます。

たとえば... 満月のように一方に月、一方に太陽が在泊するときは、両方が相互に刺激しあってひとつの果実(結果)が月の側に生み出され、今回のような新月のときは、太陽と月が同じ度数のシンボルを分かち合いながら、対向シンボルが含む意味を裏付けとしてひとつの種子を宿す...という感じでしょうか。

なお、この場合の「裏付け」というのは、デーン・ルージャー(ディーン・ルディヤー)のアングル・セオリーで言えば「where to」、つまり「その瞬間に暗示されている向かうべき方向性」を指します。こうしてみると、サビアン・シンボルはわたし達のこころを映して刺激し、動きを共同創造していく惑星力のシステムを「象徴」だけが持つ何重もの深みをもって表現していると言えそうです。そういえば、各アスペクトやグループアスペクトが織りなす様々な図形は化学の構造式にも似ているような気がします。

        では、この新月に対向する度数が示す裏付けって何だろう? ということで水瓶座18°のシンボルを見ると『A man unmasked / 仮面を剥がれた男』が出てきます。"unmasked" は素顔や素性を暴かれるという意味を持っています。また、"dis-covered" つまり「発見される」という意味にも通じます。


psychology



        仮面を着けるとき、わたし達は一時的に自分とは異なる存在に変身することが出来ます。 いつもと違う人間としてふるまいながら、自分の素顔を知られずに周囲を観察し、溶け込むことが出来ます。また、仮面は自分の中に眠っていたもう一つのパーソナリティを呼び覚まし、それを演じさせてくれます。それは自分が思う「あるべき本当の自分」かもしれないし「見てもらいたい自分」かもしれません。ネット上、SNSなどで使うアイコンやハンドルネームもまた一種の仮面だと言えそうです。

でも、このシンボルの男の仮面は剥がれています。ペルソナの下に隠された顔。そこには表面に見えていたものとは異なる「何か」が露出しています。中には一日に数回も自分から仮面を剥がして見せるひとだっています。ならば仮面を被っていた目的は? その下に見える彼の本質は? いや、素顔に見えるけれどそれは本当にスッピンなのか? それとも戦略か? 実はまだ裏があるのでは? 疑惑は深まり、人々は見たいものを求め、様々な憶測が流れます。
 
この度数はグループや共同体、つまり「わたし達」を司る水瓶座の領域で「わたし達」と「わたし」との間に避けがたく顕れる「表」と「裏」、「建前」と「本音」の存在を描いています。だとすれば... それを発見し、その仮面の構造を「わたし」(獅子座)の内側にも見ていくこと。そしてそれを紐解いていくこと。これが『化学の教師』のカリキュラムに組み込まれた方向性の一つだと言えるのではないでしょうか。


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        わたし達は仮面を剥がされた他者の姿をTV画面に、モニタやスマホのスクリーン上に、日常の空間に、そして心象風景の中に見ます。そして好感、嫌悪感、怒り、同情、軽蔑、怖れ... 様々な感情が生まれ、それはひとつの判断となって自分の中に定着していきます。「え!あのひと、こんなひとだったんだ....」 けれどそこに映っているのは本当に他者の赤裸々な姿なのでしょうか? ひょっとしたらそれは、自分の意識が反応し化学変化を起こした末に生み出された、自分のもうひとつの仮面 — 新たな鏡像なのかもしれません。

化学は社会に役立つ新しい物質を生み出すこともあれば、危険な毒物を創り出すこともあります。そして反応を起こすときの「物(者)」は、とても不安定な状態にあります。思いもよらない結果を避けるためには慎重に状況全体を見通して、自分自身と周囲がどんな構造の中で繋がっているかを見極めていく必要がありそうです。


メインのシンボル:獅子座19°『ハウスボート上のパーティ』

        「ハウスボート」を日本語にすると「屋形船」とか「居住用の船」になります。屋形船というと、夕暮れ時の隅田川で船頭さんの揚げる天ぷらを食べながら一杯…とかついつい想像してしまうけれど...。ここで描かれているパーティは、1920年代米国のアッパーなクラス感漂う集いのようです。だとすると、このハウスボートは平坦な筏状の土台に瀟洒な建造物を乗せたり、豪華なテントを立てたような感じでしょうか。普通は「船」というと、船底がV字型になっています。けれどハウスボートはもっと平らで、極端に言うと水面にプカプカと浮いているような感じ。静かな湖面に浮かんだ水上レストランをイメージすると近いのかもしれません。


boat



        で、このシンボルでは船上でパーティが開かれています。ちょっとリッチな夏の夕べ… 楽団が軽快な音楽を奏で、いくつも吊られたランタンの灯が暗い水面に照り映えています。このシンボルが降ろされた時代からすれば、ときは華やかなローリング・トウェンティーズ。そこに集うのは、アッパークラスの紳士淑女に最新流行の衣装をまとった芸術家や文化人でしょうか。着飾った人々はにこやかにダンスをしたり、グラスを片手に洒落た会話を楽しんだりしています。みんなそれぞれに、そこはかとなく自己主張はしているのだけど、それでもクラス感漂う場の中でいかにも富裕層らしいリラックスしたふるまいが身に付いているようです。

このパーティには、おそらく暗黙の了解がある筈です。参加を許されるのは、この場を乱さずに溶け込めるひと。軽い会話を楽しみ、だらしなく酔っ払ったりせず、どんな話題にも臨機応変に上品なウィットで応えられることが必須。そうやって、同じ世界を分かちあい同じ階級に属する仲間として認めてもらうことが必要。

それは、たとえばワイルドに生きる野良猫達の縄張りをめぐる暗黙の掟みたいなものかもしれません。不躾にみつめたりしないこと。敵意をむき出しにしたり、自分本位に境界線を踏み越えて他者のデリケートな領域を侵したりしないこと。ならばもし、異なる階層や集団の一員としてわたし達がこのパーティに紛れ込むことになったらどうでしょう? しばらくは仮面を被って様子を観察する必要がありそうです。見極めるのは、その場を乱さなくて済む最低限の社交術。必要なのは、全体の構造を掴む冷静さ。コンプレックスとも嫌悪感とも無縁のシンプルな自己信頼。そして忍耐という名の大きなくくりの優しさ。 やがて必要なときが来れば、自ら仮面を剥いで素顔を見せるべき場面が来るかもしれません。万一そんなときが来たら、座の中心にあって、自らの王国の主として微笑むことが出来るように。伝えるべき話に耳を傾けてもらえるように...。化学者の眼差しと静かな呼吸を維持することは、とても大事です。


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        けれど、もしも誰かが熱に駆られて掟を破り、大声で政治議論をふっかけたとしたら? 燃え上がる熱情のままに「こんな下らないパーティなんかやめて、貧しい人々に全てを分け与えるべきだ! 君達はレイシストでナチスでミソジニーでホモフォビアで白人至上主義者でブルジョアの豚だ!」 なんて、今どきの米国急進左派やアンティファ的な自論をまくしたてたとしたら…? その途端にパーティは台無しです。きっと 「まぁ、あの方はどなたですの?」 なんてヒソヒソ話から噂話に尾ひれがついて、思いも寄らない結果になるかもしれません。 彼の言葉は理解されないし、彼の真の目的も決して果たせないでしょう(彼に目的があるかどうかは別として)。いえそれ以前に、船自体がひっくり返るくらいの騒ぎにだってなりかねません。 ハウスボートは平らな底の船です。静かな水面で快適に過ごせるように造られています。だから一度荒波が立って安定感を失ってしまうと、激しい揺れは止まるどころかますます大きくなり、とても危険なことになります。それはまた、船上に集う人それぞれの仮面に隠されたこころ模様にも同じ作用を及ぼすのではないでしょうか?  

ハウスボートの上で、今、男の仮面は剥がれています。自分を中心に起きた騒ぎの渦中にあって、彼はしてやったり…!なんて、昂揚した気分かもしれません。あるいは、正しいひとなら皆 愛と共感で迎えるはずの素晴らしい信条が理解されないことに心底腹を立てているのかもしれません。いずれにしても、彼は自分の理想を実現させる道のひとつを自ら閉ざしてしまいました。彼はそのことに気付いているでしょうか? それとも単に自分が気に入らないものを破壊したかっただけなのでしょうか? 彼はただ、吸いさしのタバコを思うままに投げ捨て、森に火を放ってしまったように見えます。その火はいのちの火ではなく、自らを焼き尽くす憎しみの炎です。 その火を誰が消せるのでしょう?


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        で、この度数の「裏」のシンボルは水瓶座19°『消し止められた森林火災』。B.ボヴィによれば、原語の "forest" は「異質の」とか「馴染みが無い」状態を指すことば "foreign" から来ているそうです。 森林とは、土地を拓き家を建てて暮らすわたし達にとっては確かに「異質」な領域です。人間が飼い慣らした境界の外側、ワイルドな異形の世界に起きる火災…今、世界のあちこちでこの森林火災が猛威をふるっています。 

熱く乾いた大地に風が起これば、森林火災の炎は飽くことを知らず周囲を焼き尽くしていきます。こうした大規模な火災の場合、その被害は延焼によって人命や家屋を失うだけでは済みません。わたし達にとって異質な環境である森林を失うことは、水を生み出す機能の喪失や生態系のバランスの崩れを招きます。それはやがて、わたし達の暮らしにもっと大きな影響を及ぼすでしょう。

また、燃えさかる炎を感情に例えることも出来ます。 愛を求める気持ちが、偶然の出逢いから生まれたケミストリーで一気に燃え上がったり。人々のこころに抑え込まれた怒りが、ある不用意な発言をきっかけに炎上したり…。物事が大きく動くときって、そんなふうに溜まりに溜まったエネルギーが何かの拍子に噴火するときではないでしょうか。


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        けれど、このシンボルでは火災は消し止められたようです。ということは…消防車やヘリで散水したり、消火剤となる化学薬品を撒いたのか? それとも消防士達の人海戦術で懸命に放水したのでしょうか? いずれにしても、火を消すには炎を燃え広がらせる 「悪しき化学反応」を止めなければなりません。火的な力も燃える情熱も、わたし達が生きていくためには必要な力です。けれど、突然燃え上がった火が自分の扱える範囲を超えて拡がってしまったら… わたし達はその炎を、際限なく焼き尽くそうとする火の力を、そして爆発し風を起こし燃え広がるフォースとなる見えない化学反応を、上手くコントロールすることが出来るでしょうか? 

もしそれが出来なければ... 火が消えた後にやって来るのは、絶対の安全を求めて「危険な異世界=自然」を排除し、健全な野性の息の根を止め、全てをコンクリートで塗り固めてAI管理の緑園を創り、集う人々が選別され、一方的な規制と検閲が当たり前に受け入れられるような... 一昔前のSFにも似た未来社会かもしれません。

牡牛座入りした天王星は、11月初めに逆行でひととき牡羊座に戻って「わたし」を確かめ、来年3月には再び牡牛座に戻ってテクノロジーによる「安全」を追求していくでしょう。一方4月に牡羊座に入ったカイロンは9月にいったん魚座に戻ってやり残したこころの整理をつけ、来年2月に再び牡羊座入りして「わたし」とは誰か?の本格的な探求に入ります。そして2019年12月、山羊座には土星に続いて木星が入居し、2019年12月26日に山羊座で起きるダイナミックな金環日食と2020年1月11日の半影月蝕の直後に土星と冥王星が正確なコンジャンクトを形成します。そのとき、木星は山羊座の初期度数で月のサウスノード、小惑星アグニ(火の力)とコンジャンクト、そして牡牛座の天王星は山羊座のフォルス(予兆、突然の噴出)とトライン。

「愛」...「友情」...「家族」や「仕事」... 「わたしの人生」... そして大きく見れば「平和」や「繁栄」という概念。そこから生まれて来る「経験」。今は変化のただ中にあって、一年半も先のことはわからないけれど... ひとつだけ思うのは、2018年の夏にわたし達が選び取った方向性が、そのときのわたし達を創っているだろうということです。


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        この新月/日蝕期(そして満月期)には、世界中の「わたし」が不安定なハウスボートの上でパーティに参加することになるのかもしれません。そして「わたし達」の中の「わたし」とはいったい誰なのか? を問われ、それぞれの日常で試すような場面があるかもしれません。そこには多様な姿、多様な答があるでしょう。でも、それは本当に「多様」なのかな? もしわたし達が、惑星達の織りなすシステムに同期して反応しているだけだとしたら? それを知り、利用して「上手く幸せに生きる」ことは出来るかもしれません。 けれど星々の軛を超えて、「わたし」という胎内宇宙に本当の自由の火をともすことは出来るだろうか? それぞれにたったひとつの、真に多様な宇宙を実現することは可能だろうか? ん.....本当の自由って?


夏休みを前にして、そんな大それたことを考えたりする夜明け前です。(^_^;


さぁ、この夏最後の新月/日蝕。ゆったりと水面に浮かぶハウスボートから花火でも眺めながら。本当に気を許せるひとと。あるいはひとり静かに。 仮面も要らない、護る必要もない。ただひっそりと確かな生が息づいてる。もしかして、そんな夜になったらいいな。。


では、みんな元気で思い出深い夏の刻を過ごせますように...!


eso9948f



have a great trek!!!★

hiyoka(^_^


hiyoka_blue at 21:57│Comments(3)新月(満月)の星読み | パーソナル・アストロロジー

この記事へのコメント

2. Posted by Green🍒   August 25, 2018 09:11
5 hiyokaさん

あすは、魚座満月ですね。🐠🐠🐬

株式市場にとっては、アゲアゲないまで
売り方の損切り、投げという浄化のなかに
あるようです。延々とゴルディロックス相場
継続を後ろ盾に、着々とパウエルFRBは
利上げベクトルです。利上げ戦略をブレずに
一貫させることは、超長期での、金融正常化
のためになるのかもしれません。
ECB、日銀は、株価膨張、政権支持率
アシストなどのために、緩和緩和緩和
と、貧富の格差の一方的拡大。延々と
オートマチックに株価は上昇で無敵。

hiyokaさんに診てもらいたい
未来のホロスコープがあります。

ひとつは、2019年1/21 15:00 ころ 関東

もう一つは、2028年9/30 22:00 ころ 関東

です。たぶん1/21のあたり強気一辺倒からの
突然のなにかが、魚座海王星スクエア
射手座木星・金星コンジャクトに象徴
されるような。。。


10年後の9/30 22:00 〜は、Greenの誕生日
であり、てんびん座7度〜太陽や
てんびん座14度〜木星のネイタル
ステリウムたちに図星なホロではないかと。

みずがめ座6度〜冥王星
牡羊座7度〜海王星
ふたご座14度〜天王星
てんびん座7度〜太陽・木星

などの時代背景トランシットになってます。

ネイタルおうし座7度〜の逆行土星と
Tみずがめ6度〜冥王星はスクエアでもあり

なにやら、強烈な役回りもGreenは、断行
演じるのかもです。


牡羊座7度〜てんびん座7度のオポジション
を、みずがめ座6度冥王星が延々と調停して
いる、。


自分が、アルケミストを実現するのは
2028年この頃かなと直感、去来しています。



(╹◡╹)Green🍋🎩
4. Posted by hiyoka   August 27, 2018 01:32

Greenさん、こんばんは。

これは来年1月の強力な皆既月食、未来志向のノースノード・イクリプスの日ですね。この木星・金星と海王星のスクエアについては今週のメリマンコラムで金融市場と経済面での懸念の可能性が示唆されていました(ツイートのみで記事にはしなかったけれど)。これについては『フォーキャスト2019』に詳しい解説が載るそうなので楽しみです(...その前にわたしにとっては怒濤の日々がやって来ますが...)。

月蝕図には他にも、小惑星を入れると月のノード軸が絡んだグランドスクエアが顕れます。Nノードに月とキラルス、Sノードに太陽と水星、それにスクエアを形成する天王星、そしてオポジションのパラスとレクイエム。やはり経済、金融(米国に何かあれば当然ながら)。そしてもしかしたら労働市場や新たな移民政策、憲法改正の関連も何かあるのかな..。天王星は深層として自らのキャパを超えるほどの理解力を必要とする出来事への遭遇を示唆する位置にあり、リバタリアン的自立志向のパラスが味付けとして対向しているのも興味深いです。戦後始原図はMCに海王星が乗っていて、リベラル的理想主義的精神性を物語ってるけど、この満月図でも10室に海王星。現政権もどちらかというとリベラル寄りの政策が多いように思うけれど現実面での運用に問題が出るのかもしれませんね。その他ににも火星・土星のスクエアなどいろいろあって、未来志向とはいってもけっこう厳しいチャートです。

10年後のソーラーリターンですか!(^_^;
本当に、何かあるのかもしれませんね。ソーラーリターンの惑星達がびしばしとネイタルに当たったり絡むときは、エポックメイキングな年になります。だからGreenさんの直観は当たっているんじゃないかな。そのときも、それまでにもカルミックな意味でも紆余曲折あるかと思いますが、ご自分が思い描いたイメージに向かって一歩一歩進んでくださいね。

great trek!!!☆
 
5. Posted by hiyoka   August 27, 2018 01:35

あ、行き違いですね。
はい、お楽しみに!😊

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