March 2019

March 24, 2019

レイモンド・メリマン 週間コメント3/25【金融アストロロジー】

http://www.mmacycles.com/
レイモンド・メリマン・コラム  2019年3月25日(フリー版より)

翻訳:hiyoka
文中の日付・時間はすべて米/東部時間です。
自身の学習のための翻訳文です。日本語になりにくい箇所は意訳があります。また知識不足による誤訳があるかもしれません。原文は上記サイトで無料で閲覧できますので、よろしければそちらもご参照ください。またご意見やご感想、間違いのご指摘などいただけましたら嬉しいです。また投資日報社さんでは無料コラムには記載の無い情報や、文中のメリマン用語の解説も掲載されるそうですので、そちらもぜひご覧ください。 翻訳者はこの記事をアストロロジー学習者向けのエッセイに近いものと捉えています。詳細な相場予測や何らかのトレードを推奨するものではありません。投資に関するアドバイスをお求めの方は投資日報社さんまたはMMAサイトにて講読版をお求めください。また文中の * は翻訳者によるものです。原文が "ファンキー" な時は、時々お節介な訳注が入るかもしれません。
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来週4月1日付のメリマン・コラムはお休みさせていただきます。🙇


≪ 短期ジオコズミクス ≫

  “『米国経済は依然として強い』というFRB議長ジェローム・パウエルの今週の主張は、金曜に典型的なリセッションの兆しを見せた債券市場によって厳しい試練に直面している。短期債のイールドは現在長期債より優位に進んでおり、2007年以来見られることのなかった強い不況への兆候を表している。3カ月債と10年債とのスプレッド、またはイールドカーブ(利回り曲線)はこれまで長期にわたって続いてきた10ベーシスポイント(0.1パーセンテージポイント)以上という壁を抜けた。前回これらのスプレッドがこの水準を下回ったのは2007年9月のことだった。そして金曜の朝、不況がやって来るというほとんど完璧なシグナルである逆イールドが発生した。イールドの逆転は必ずしも切迫した景気後退を意味するものではないが、来年以降かそのあたりには直面することになりそうだ。”

— Jeff Cox
  “The Bond Market is Flashing Its Biggest Recession Sign
  Since Before the Financial Crisis”
  www.cnbc.com 2019年3月22日付

  “都市設計家、建設業者、エンジニア、そして科学者達は、気候変動が深刻な洪水や危機的状況を生み出す気象条件、極度の高潮の発生と増加をもたらすとして、人々が住宅を建てる新たな方法を見つけ出そうと躍起になっている。”

— Elizabeth Weise
  “The Floods Are Coming; Here’s What You Can Do”
  USA Today 2019年3月22日付


  先週は興味深いジオコズミック活動の重複が見られた。その全てが魚座の水星逆行のサイクル中央部で起きている。この逆行期の実際の中央部はちょうど週末の3月16日〜17日だった。しかしながら、先週中盤の3月20日、春分と同時に稀有な満月が起きた。これは18年〜19年ごとに起きるように見える(そして株式市場の下押しへの先駆けにも見える)事象だった。その翌日となる21日、水瓶座の金星が牡牛座の火星と各23°台で不動宮スクエアを形成した。ニューヨーク証券取引所の設立図(1792年5月17日)では、水星が牡牛座23°台、冥王星が水瓶座23°台に在泊しており、これは現在の金星・火星スクエアと同じ位置だ。となれば、読者の皆さんはこれが世界の株式市場と他の金融市場での重要な動き(リバーサル)と同期したと考えるかもしれない。それはおそらく正しいだろう。

  3月19日〜21日は世界のいくつかの株式指数にサイクル新高値が見られ、その後週末に向けて急落が起きた。米国ではS&Pとナスダック総合に今年の新高値が示現したが、ダウ工業平均(DJIA)にはそれが見られなかった。DJIAは3月19日火曜に26,109をつけたが、2月25日のサイクル高値26,241にはわずかに届かず今年2度目のピークとなった。そして3月22日金曜までに400ポイント以上と厳しい下げを見せて引けには25,500を試している。アナリスト達はヨーロッパと中国の成長が当初の予想より遅れていることも念頭に、即座に米国経済の成長見通しを下げた。これは週の半ばにFRBが、たった2週間前にあと2回の利上げが予測されたにもかかわらず何故中央銀行が2019年内はこれ以上の利上げが出来ないと断念したかを説明したその隊列に加わった寸法だ。

どうして世界経済の見通しが楽観から懸念へと突然転じたのか、誰もその理由を知っているようには見えない。この停滞が何故以前は目に入らなかったのか? それは、その界隈の人々が誰も水星逆行、とりわけ魚座を逆行する水星が魚座の支配星である海王星とコンジャンクトする時に生じる原動力を理解していないという事実と関連するのかもしれない。しかし、ファイナンシャル・アストロロジャーは知っている。実際、これは世界経済が持つリアリティーをリアルに知る者はいないというリアリティーを指し示す典型的なアスペクトなのだ。彼らは自分達が何も知らないという現実に直面するまで自分達が知らないということを知らない。そしてその後でさえも現実を拒絶し、説明責任を負う意志の欠如が見られる。これらは全て、海王星と魚座が持つ暗黒面の特質だ。

  水星は知っている。水星は知識、情報、そして知的/精神的な処理を支配する。だが魚座ではデトリメントであり「ファクト」のような情報を処理するにあたってはひと苦労だ。これにまた、適切な情報を他者にも理解し得る形を通して伝達するために処理していく — あるいはそれを受け入れる — 行為への試練を暗示する逆行運動の重荷が重なる。その結果は、私達が現実だと思った物事(米国と世界経済の「奇蹟」)が現実でも何でもなかったことへの気付きだ。つまりは全てが幻想かあるいは希望的観測の副産物であり、これもまた魚座の海王星が受け持つ領域だ。どちらも想像力、ファンタジー、抽象化した物の見方を支配する。これらの特質はインスピレーションに裏付けられた文言には貴重だし、高まる直観力や創造的な思考にさえも寄与するものだ。だがそれは、世界経済や金融市場が最も有効に機能するような世界においての話ではない。錯覚からなる幻想はついに現実と出会い、あなたは不意の刺々しい声に起こされる。あなたは眠っていたのだ。自己満足に浸り、全てが上手くいっていると信じ、どんな下落も一時的なもので全てが(あなたのポートフォリオを含めて)まもなく正常に戻ると信じてきた。何故なら過去10年間をふり返っても、物事なんてずっとそんな風だったではないか?

そして今 私達は、2007年10月11日の株式市場に示現した史上最高値の後、2007年12月に始まった「2007年〜2009年グレート・リセッション」のちょうど2カ月前に見て以来初となるイールドカーブの逆転現象を目撃している。

  面白いではないか? 2007年10月11日はまた、前回木星が射手座中央部に在泊した時期と関連している。この12年ごとの惑星サイクルは、米国株式市場の長期サイクルの天井との関連性において色濃い歴史を持っているのだ。それは2018年11月8日から2019年12月2日にかけて、再び進行中だ。



≪ 短期ジオコズミクスと長期的考察 ≫

“あぁ、星々のただ中に素晴らしい知識が発見されようと待ち受けている。最も微細な物事までもがそこには描かれているのだ... もし人がそれを読み取るだけの技術を持ってさえいたならば。”

— ベンジャミン・フランクリンの言葉
  近々刊行予定の書籍中に引用されている一文

  この本は非常に成功したビジネスマンがアストロロジーによるコンサルテーションを受けた後に体験した「覚醒」について自ら書き起こしたもので、将来のコラムでまた触れることになるだろう。


“昨日からのわたしが知る全て...
  それは何もかもが変わってしまったこと”

— テイラー・スイフト&エド・シーラン
  “Everything Has Changed” アルバム“Red”より
  Big Machine Republic 2013年(YouTubeで視聴可能)


  いや、なにも私はテイラー・スイフトの追っかけファンというわけではない。だがこの曲は今週聴いていたパンドラ・ラジオステーションでたまたまかかった時に私の注意を惹いた。それは友人のレコーディング・ミュージシャンでアストロロジーの研究家でもあるリチャード・ハーディとの刺激に満ちた会話の直後のことだった。その時私達は、山羊座において土星・冥王星がコンジャンクトすることの意味と、その原理を個人的な人生の中で最善の形で使うにはどうすればよいかについて論じ合っていた。

特に今回は、共に自ら支配する星座宮に在泊して力を強めつつ人間を夢見心地へと誘う木星・海王星のスクエアがもたらす「甘美な錯乱状態」と、山羊座の土星と冥王星のコンジャンクシャンが「さぁ見よ」とばかりに突き付ける「厳しい現実」の間を行きつ戻りつするような状況下だ。後者には、おおらかとも言える木星・海王星コンビのような寛容さの持ち合わせはない。

  木星・海王星コンビは2019年1月から9月まで発効する。土星・冥王星コンジャンクションのほうは2020年1月12日まで、正確な形成には至らない。だが今でさえ、関連する事象が起きるには十分なほど近付いている。6月いっぱいまでは互いに3°以内のオーブ圏に入っているからだ。時系列で言えば、木星・海王星スクエアがまず先に形成され、その後に土星・冥王星コンジャンクションが続く。しかしその途上、ちょうど今頃から夏を通してこれらがうねり合うように互いの領地を行きつ戻りつするのだ。そしてそれから先は、2019年終盤から2020年を通してほとんどの時間帯が土星・冥王星とカプリコーン・ステリウムの影響下となる。

つまり『昨日からのわたしが知る全て...それは何もかもが変わってしまったこと』という歌詞の世界だ。輝かしい経済、大統領によってどんどん好転していると宣伝されてきた「奇蹟」の経済は、彼が『FRBによる2018年末の金融引き締め政策がこの「経済的奇蹟」を損なった』と宣告した先週までの世界だ。楽観は懸念へと転じた。射手座の木星(楽観性と事実無根の活況)は、山羊座の土星と冥王星(『花は — あるいはお金は — 何処へ行ったの?』)へと変容した*
*『花は何処へ行ったの?』“Where Have All The Flowers Gone?” 1960年代、ピーター・ポール&マリーによって反戦歌として歌われ大ヒットしたフォークソング

  それでも、どんな惑星や天体であれ、それぞれの原動力と原型を持っている。それがたとえ土星・冥王星コンジャンクションのようなハードアスペクトであっても建設的に使うことは可能だ。では、どうすれば山羊座の土星と冥王星を前向きに使えるだろう? 最善の個人的成長を目的として統合し努力するべきその原理とは何だろう?

土星と山羊座は両方とも統制と倫理を象徴する。一方、冥王星は絶大な力(または権力)と変容を意味する。つまりこの時期は、冥王星の「力」が「個としての統制」への脅威として経験される可能性がある。これは個人的な(内的な)倫理規範に逆らってまでも変容することを迫られるように見える時期だ(もっとも、自己の内部に倫理規範を持っているならという話だが)。

ここでの試練はあなたの核となる道義や指針に嘘をつくことなく忠実であり続けることだ。そして他の人々や環境の外圧に負けて、自分の手で「自分自身であること」の核を侵し、自分がするはずのなかった行動を取らないようにすることだ。こうした試練は一般的に見て世界中の大衆に当てはまるが、とりわけカーディナル・サイン(牡羊座、蟹座、天秤座、山羊座)の15°〜24°に惑星を持つ人々、特に蟹座と山羊座には強く作用するだろう。読者の方々なら知っていると思うが、1月5日〜16日生まれと7月7日〜18日生まれの人達は年齢に関係なく太陽がその位置に来る。また4月5日〜16日生まれと10月8日〜18日生まれもその影響を受ける。(日本では1日程度ズレる可能性あり)


  燃えさかる石炭とその炎の中に自分の二本の脚で立ち、聖なる核として抱く自らの道義を捨て去ることなく保つことは、あなたを力付け、あなたを強くする。外圧にひれ伏して妥協し、内部の深いところでは正しくないと知りながら何かを行動に移すなら、自分自身であったはずの大切な一部を失うことになる。そしてそれを取り戻すのは難しいだろう。この時期は、自分自身の責任に基づく深い関与のありよう、他者との人間関係、そしてあなた自身の個的な倫理が試される時だ。自分自身を売り渡してはならない。自分を変えることは出来る。だが品位を失うことなく、自分で自分を統御出来ているという感覚を維持していくことだ。

冥王星はまた自己の内部を深く掘り下げ、その深部に個的な変容を起こすための源泉を置きたいという衝動をも象徴する。したがって、これは重要な学びの時期だ。そしてあなたが — より広く見れば世界が — いかにその試練と学びを受け入れ、取り組み、過ぎ越したかの結果がやがて問われる。それが今後数年のあなたを(そして私達を)取り巻く未来の環境を決めるのだ。


  一方、金融市場を短期ベースで見ていくなら、3月22日から4月3日の間は水星が魚座で滞留し海王星とコンジャンクションになる。水星は3月28日に順行に転じるが、逆行の力学はその後も数日は余韻として残るだろう。混乱と不確実性がニュースを支配することになる(たとえばブレクジットを思い起こすといい)。

今は情報や報道が正確さや信頼性を欠きがちな時期だ。人々はとんでもなく荒っぽい(バカげてさえいる)セオリーを考えつき、自分達がしている事から皆の目を逸らし、自分を護ることが出来ない他者(スケープゴート)に注意が向かうよう仕向けて責めを負わせるために、あらぬ噂を流すという誘惑に駆られる。今という時は巧みに「犠牲者カード」を振りかざし、あたかも自分が被害者であるかのようにふるまう人々を目の当たりにする時期だ。しかもそれは驚くほどの信ぴょう性を伴って見える — ただし嘘だということを除けばだが。それは良くても演技にすぎず、悪くすればでっち上げだ。

  おそらく今、市場として熱いのは原油で、魚座の海王星に支配されている。先週、原油は1バレルあたり60ドル以上に舞い上がった。これは11月半ば以来初めてのことだ。穀類もまたニュースを賑わせるかもしれない。何故なら — 木星(誇張)と海王星(降雨)のスクエアに付きものの出来事として — 今や気象予報士が(それに『フォーキャスト2019』では私達も同様に)この季節とその後も記録的な洪水が押し寄せると予測しているからだ。だから驚くことではないが、私達としては今年の降雨量は予想以上となるにしても、その後までは続かないと見ている。







訳文ここまで
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hiyoka_blue at 20:53|PermalinkComments(0)金融アストロロジー | マンデーン・アストロロジー

March 20, 2019

🌕3/21の満月 ― みんなに降り注ぐエネルギー(フツウの戦士サンたちへ♪)

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    満月は前回の新月のテーマが熟し、花開き実を結ぶときです。 この日は太陽と月が、地球を挟んでちょうど反対側にやってきます。0°の新月から始まった地球全体への課題は、満月で180° 対向のエネルギー同士がぶつかりあい補いあうことにより、輝く満月というひとつの「結果」を見せてくれます。それは、わたし達が空間から受け取ったエネルギーをどう昇華し、現実に表現してきたのかを、あらためて見せてくれる「鏡」だと言えるかもしれません。なので満月のテーマは新月の瞬間から色濃く育っていくとも言えるでしょう。そして わたし達はみな満月を超えて、次の新月までにその経験を消化(昇華)し、エネルギーはゆっくりと静まっていきます。それはこの世界に生きるわたし達の意識に与えられたプログラミングの一種かもしれません。そんなシステムをどう使うのか?それとも使われるのか? それはきっとわたし達次第。さぁ、今回はどんな風景が見えるでしょうか? では今月も行ってみます。(^_-)~☆
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★満月タイムスケジュール★
エネルギーが高まる時です。ヒーリング・メディテーションや祈りを捧げたい方は、もし可能ならこの時間帯(ずれるなら満月前がベター)に合わせてみてください。エネルギーの高まりを感じられると思います。

【地方平均太陽時:ソーラータイム(LMT)】
東京・関東ローカルで 3月21日11:01前後、北海道周辺で11:07前後、関西方面は10:42頃(日本標準時の場合はこの時間)、沖縄周辺で10:13前後に 天秤座0°09'で満月となります。

今回のテーマのベースであり、今も背景で発効し続ける新月の大テーマについてはココをご覧ください。
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サビアン・シンボルによる【満月がもたらすテーマと挑戦】
*ここではデーン・ルージャー(ルディアー)版やマーク・エドモンド・ジョーンズ版の解釈ではなく、透視家エルシィ・ウィーラーの伝えた言葉をそのまま書き写したオリジナル版サビアン・シンボルを使ったブレイン・ボヴィの解釈を参考に、アスペクトを加味して書き下ろしています。
*テーマはひとつの意識の流れを表したものです。この流れは順不同に現れたり循環したり、ひとつだけ突出して感じられる場合もあります。また、内容はその時々のアスペクトを意識しながら抽出しています。


【月 天秤座0°→1° / 太陽 牡羊座0°→1°】
  🌕 "A false call unheard in attention to immediate service"
  『差し迫った責務への集中によって耳に届かない虚偽の呼び声
  ☀️ "The Great Stone Face"
  『人面の大岩』
     ↓↓↓
  🌕 "A butterfly made perfect by a dart through it"
  『身を貫く一本の針によって完全な存在となる蝶
  ☀️ "A woman rises out of water, a seal rises and embraces her"
  『水面から女が立ち現れ、アザラシが浮上して彼女を抱きしめる』


【テーマがもたらす雰囲気と挑戦(順不同)テーマ発効期~4/4】
 ※満月の場合、1週間~数日前から前倒しで感じられると思います。

→★あらゆる雑音に惑わされず最重要な物事に集中する喫緊の必要
→★人生を大きく見た上でけっして妥協出来ないラインを死守する
→★「こうありたい」と感じる人物像が自分自身の何を
    投影して出来上がったものかを識別していく必要
→★もっともらしい理由をつけて実はどうでも良いことにかまける危険
→★聞きたくないことに対して無関心を装い無視するか、または
    必要なときに重要な物事に意志をもって一点集中出来るかの試練
→★他者からのどんな要求や文句にも応えようとして疲れ果てる
→★過度のストイックさが心理的なねじれや抑うつと化していく危険
→★ひとつの信条に盲目的に従い他の多くの可能性を犠牲にする可能性
→★一つの節目に浮上する生々しい感情のほとばしりがその後の生を彩る
→★何かを完全に理解したい、または捉えたいという強い欲望
→★人間の生の「五感に訴える生々しさ」を愛する力、または拒絶する心
→★傷ついたこころを癒やす不可視の力を感じ取るか、
    見せかけの優しさに慰めを求めて足を掬われるかの岐路
→★刺激にむやみに反応せず、平穏を護るためにひととき仮面をつける
→★内界や外界の決定的な一シーンをイメージやことば、音で表現する能力
→★原初の本能的なモチベーションが一時的なエゴを通して翻訳され、
    合理化され、行動化されることの危うさ
→★自分の内部にある物語、または何かの具体的なイメージが見え始める
→★脱皮のときが至り自分自身に新たな楔を打ち込む・・・→


エネルギーのポイント:新月
            『全ての内的力が融合する一呼吸への集中』
            
            満月
            『新たな節目の扉を開くただ一度の呼吸』 

190321FM



★3月満月の星模様とチャレンジ ★


  魚座の水星が絶賛逆行中の現在、世界はますます不確実性と不安定さを増しつつあるように見えます。建国以来の歴史を全否定するかのような米国急進左派の台頭と壊れゆくクラシック・リベラルの伝統、行方のわからないブレクジット問題、再び拡大傾向が見え尖鋭化してきたと伝わるフランスのイエローベスト運動と揺れ動くEU、欧米を席巻するカルチャー・ウォーと言論統制への圧力、バチカンではカトリック教会のトップである枢機卿が聖歌隊の少年達への性的虐待で有罪となり、テクノロジー・モンスターと最先端科学の結び付きにはどことなく危うい方向性がかいま見え...そして水星逆行のまさに中日、ニュージーランドで銃撃テロ事件が起き、50人におよぶ無辜の犠牲者が出ました。この事件はフェイスブック上でライブ配信された後、YouTube、Reddit、8chanなどに再掲され、世界に拡がる分断の加速を狙ったかに見える犯人のアジェンダとともに、世界中のミラーサイトに転載されていったとか。ネットとテクノロジーを介したその拡散ぶりも、今の星回りを映していると言えるでしょう。また独立系ニュースサイトの9ニュースによれば、オーストラリアの通信キャリアはこの事件に関連して動画を削除しなかった4chan、8chan、ゼロヘッジ、ライブリークなどをブロック。ボーダフォンは取材に対し、この措置が裁判所または法執行機関の命令によるものだと告げたそうです(検閲 — 山羊座の土星と冥王星)。


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  こうしてテロ事件の衝撃と悲しみはまたたく間に世界を覆ったけれど、米国では何故か怒りの飛び火が「白人特権」という文脈を通じて無関係な人物(ムスリムの女性議員イルハン・オマールによるユダヤ人排斥を批判したチェルシー・クリントンなど)に降り注ぐ事態にもなったようです。また、今の星回りに関連して米国から伝わったニュースとしては、カリフォルニアのデビン・ヌネス共和党下院議員が Twitter 社に対し、保守派アカウントを意図的にターゲットとしたシャドウ・バン(当事者に何の通知もなくひそかにアカウントを削除したりツイートを見えなくするなどの行為)によって被害を被ったとして2億5000万ドルの損害賠償と35万ドルの懲罰的損害賠償を請求する訴訟を起こしたとか。今や重要な政治プラットフォームとなったツイッターは、ジャック・ドーシーCEOが急進左派を含む民主党の支持者であるため、これまでにも右派の論客やトランプ支持者、ウォークアウェイ運動の創始者やラディカルフェミニズムに批判的な言論に対してあからさまな差別行為を行ってきたと言われています。とすればこれは、米国憲法修正第一項「言論の自由」に関わる裁判で、私企業としての自由裁量範囲と公共の言論プラットフォームとしての役割責任とが問われることになるのでしょうか? 

  一方、世界と単純比較すればまだ平和に見える日本も、先の見えない北朝鮮の核や拉致問題、韓国、中国という近隣国との間に積み上がった軋轢、憲法改正問題、少子高齢化や労働・賃金問題、事実上の移民制度とその受け入れ態勢への疑問、経済の先行きへの不安その他、日々浮上する難問や事件は無数に存在します。そしてそのどれについても、今のところ真に納得いく解決の道筋がついているようには感じられません。


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  ネットではあらゆる人々があらゆる言説を放流し、それに対して無数の反応が怒濤のように日々流れては去っていきます。特に政治的な話題がらみで英語圏のネットを見ていると、右派左派を問わず怒りに満ちたことばや侮蔑的な言説が飛び交っていて、その不信感の底深さに日々驚かされます。そこではフェイクも真実も、全てが一緒にミキサーにかけられて大量の調味料が投入され、似ても似つかないインスタント食品に化けて出回っているのではないかと思うほど。また、物事の深みを追っていくのではなく、表層のことばじりや目に映る断片だけで即座に正邪の判断をくだし、それにヒネリを加えた上で自説の強化に利用するという話法も今のネット言論の特徴かもしれません。(そういえば米国内では過剰な分断の進行ぶりに市民戦争の再来を口にするひとも...。もっともサイバー世界では、市民戦争どころか第三次世界大戦さえ見えない舞台裏で始まっていてもおかしくはなさそう。まぁ仮想世界なら直接の被害はないという考え方もあるけれど、それは捨てたほうが良いのかも? そこで起きていることは、物理的現実に顕れる思いもよらない根こそぎの変化の一部分 ― 形を変えた先触れ ― に過ぎない可能性も否定出来ないのだから。)


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  ところで、日本の戦後始原図(被占領国から一つの独立国家として認められたサンフランシスコ条約締結時のチャート)はMCに海王星が乗っています。また現憲法成立時の戦後始原図では太陽と海王星がコンジャンクトしています。ここには「他者(他国)が善なる存在であることを信頼し、忍耐を旨として理想に生きる」という崇高なテーマが浮上するけれど、その反面(というか同時に)「自己欺瞞と自己犠牲の中で夢をみる」、「信頼すべき相手を見誤る」...などという、国としては厄介な傾向も感じられます。

  で、満月を前になんでいきなり世界の話題や戦後始原図の話になったかというと... 今回の満月は春分の日に起きる、エリーズ・ポイントのスペシャルなルネーションだから。 エリーズ・ポイントとは、黄道上に象徴的な十字を描く感受点。今までにも何度か触れてきたし、メリマン・コラムでも重要な感受点として紹介されていた、牡羊座0°(春分)、蟹座0°(夏至)、天秤座0°(秋分)、山羊座0°(冬至)— 季節の変わり目 — を指します。また太陽が牡羊座0°に達する春分は、アストロロジー上の「新年の始まり」です。なので国や社会にとっての今後1年を予測するときは、多くのマンデーン・アストロロジャーが春分図を使います。


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  一方、パーソナル・レベルで見るなら、エリーズ・ポイントはわたし達個々の人生においても新しい季節の始まり。そして個人と社会が鋭く交差しぶつかり合う十字路のようなもの。そこではわたし達それぞれが「社会」という名の「反射光」とダイレクトに出逢い、その体験を通して自分にとっての新しい挑戦や変化の兆しを感じ取る... または兆しが「宿る」とも言われています。いわばアストロロジーという象徴的言語体系においては節目にあたり、一歩踏み出すよう背中を押されるポイントという感じかな。その意味でも、セットアップの年、2019年の春分と重なるこの満月は、わたし達それぞれにとって とても重要な意味を秘めているように思えるのです。

けれど、そうは言ってもまだまだ魚座の水星逆行が猛威をふるう真っ只中。すぐにクリアな視界が開けたりはしないでしょう。それでも、3月7日の新月からこの満月期が終わる4月4日までの約1ヶ月間、太陽と月、そして様々な惑星達が告げる新たな挑戦のテーマを知った上で、さらなる一歩を踏み出すこころの準備をしておくのは悪くなさそう。

何故ならこれから先、2020年とそのあとの数年をかけて、本当に大きな変化がやってくるはずだから。 それはきっと良いとか悪いとかではなく、後戻りのない流れの中で、全人類の集合意識が選択していることだと思います。その流れに立ち会うべくして生まれてきたわたし達は、それぞれに自分ならではの幸福を追い求めながらも、同時に超然と自分自身を生き切っていくよう促されているのではないでしょうか。


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  と。。 また前置きが長くなっちゃって...😅 では星模様、さっそくいってみましょう。以下のアスペクトは全般的な読み方ですが、ネイタルの惑星や感受点に触れている場合は何らかの形で関連する体験があるかもしれません。また、ネイタルチャートで満月が入るハウスの体験にも注目しておくと良いでしょう。


春分の満月

牡羊座の太陽・カイロン(と恒星スキート、小惑星サラシア、ジョディ・フォスター、マーティル、ワイルド、スフィンクス)に天秤座の月(とアヴァンダンティア)、山羊座のフォルス(とボムビッグ)、AC/DC軸がGスクエア
月と天王星・ルシファーがクインカンクス

水星逆行と海王星が猛威をふるう満月らしく、とても濃密でいながら沢山の謎を秘めたアスペクトが見られる。太陽とコンジャンクトになる恒星スキートは魚座側だが、恒星としては荒々しいエネルギーを持ち、場合によっては天災、様々な大事故、死と関わることもある一方、クリエイティブな力を与えるとも言われる。小惑星をざっと眺める限り、全体に表面からは見えにくい部分に要因のある自爆的行動や未成熟さによる盲目的行為(またはそう見える犯罪)なども考えられるが、もしかするとこれは満月の先取りとしてニュージーランドで起きた銃乱射事件と関連したのかもしれない。

天王星・ルシファーの組み合わせもまた、何らかの刺激によって社会常識の一線を越えやすいとされる。ルシファーはとても創造的な一面を持つけれど、特有の弱さを持ち、誘惑や果てしない堕落を止める力には欠け気味。なのであまりに抑圧的な生活や過度のストイックさは避け、無理のない生活を心がけたほうがいいかも。月と天王星の組み合わせは潜在的な「噴火」の可能性を持つ。子供のころから長く抑圧してきた「熱」が風変わりな形をとって突然表出したり、反抗や抵抗運動に繋がることも。それは根底の感性を「誰にも理解されない」というフラストレーションかもしれない。突然の爆発が年齢を問わず「本当の自分探し」の一環として起きる場合もある。気分は変わりやすく、言うことがあれこれ変わったり、空気を読まずに驚くような発言をして攻撃される場合も。

特にこの時期は不安定になりやすいので、出来るだけゆったり過ごしたい。謎や秘密めいた雰囲気、想像力、イメージの構築には助けとなりそう。その他、もし他者との間の「共依存」状態に心当たりがあれば、その問題が具体的な形で浮上する場合があるかもしれない。それがそこから脱するための解決策を模索するきっかけとなる可能性もあるので、水星が逆行のシャドウを抜けるあたりまでよく見ていくと良いかも。

Sノード・冥王星(と土星)& Nノード(とキラルス、エロス、シュレディンガー、コンパッション)のノード軸にエリス(とアストライア)がTスクエア(エリスとパラレルのチャイルドが天秤24°台でGスクエア)
他に牡牛座の火星、射手座の木星、水瓶座の金星が各23°台に在泊。金星・木星のMPにSノード、金星・火星がスクエア

これらのアスペクトも子供の虐待や若者を含む大量殺人やテロ、犠牲者に対する同情や追悼の思い、審判に関連するけれど、ニュージーランドの事件が衝撃的だっただけに、やはり先取りとして起きたように思える。ただいずれにしてもストレスフルなアスペクトが続くので、少し息抜きが必要かも。でも羽目を外し始めると底が抜けそう。追っても虚無の幻影しか見えない可能性があるので火遊びはほどほどに。静かな安らぎを求めるほうがもしかしたら安全かもしれない。また、月のノード軸と冥王星、土星、キラルス、エリス、アストライアなどのTスクエアと火星、木星の関係は、前述のネット接続に対する法執行機関のブロック命令にも関連すると思われる。

火星・Nノードから木星にYOD
新しい生活、新しい領域へ踏み出す機会の示唆。ただし慣れた生活へのこだわりや新しい方向性への不安、またはいくつかの選択肢で迷ったり、自分を護るために社会常識と闘わねばならないなどの予感からなかなか決心がつかないかもしれない。起きることは起きる。肩ひじ張らずに起きたら起きたときのことと割り切れるかどうか。考えどきかも。

火星・冥王星とSノード・ベスタの小三角
骨の折れる作業でも絶対にやり遂げなければ...という意志。内面と外の世界がぶつかる可能性。それでも自分で責任を負うことが出来て、ひとりで続けられる作業であれば完遂出来そう。こころを澄ますことが鍵かも。

海王星とアスボルス・ジュノーのスクエアのMPに天王星・ルシファー
(5月3日に起きる今回最後の天王星・海王星セミスクエアを大背景として)

これもハードなアスペクト。一時的に精神的許容量が狭くなって、いつもなら受け流せることに強い反感を持ったり、相手を糾弾したくなったりするかも(相手がそうなることも)。そんなときは出来るだけ衝突を避けて体をかわすか、もし可能なら相手の話にきちんと耳を傾け、誤解が生じないように話し合いを。双方に落ち着きがあれば、日頃言えなかったことを正直に伝える機会になるかもしれない。ただし失言には気を付けて。ストレスに注意。(天王星・海王星のワクシング・セミスクエアの社会的な影響力についてはフォーキャストやマンデーン・シリーズに詳しく解説されているので参照してください。)


水星逆行関連の注意期
(思考力・注意力・重要ファイルのバックアップなど引き続き慎重に)
 ・例外としてネイタルで水星逆行のひとは逆に冴える場合もある

3月23日ごろから水星は速度がぐっと落ちてくる
(少し長めのストーム・フェーズの始まり)

3月25日 水星逆行で海王星と魚座16°台でコンジャンクト
 
そのまま滞留して...

3月28日 23時頃 魚座16°台で順行
この日Sノードに冥王星が正確なコンジャンクション、Nノードにはキラルスがコンジャンクション、これにエリス・パラスがGスクエア

4月2日 19時頃 海王星と順行の水星がコンジャンクト
同時に月とネッソスがコンジャンクト、ノード軸に冥王星とキラルス、Sノードと冥王星、パラスからグリーヴにクァドリフォーム

 ※この前後もハードなエネルギーになりそうなので要注意

4月17日 水星が逆行のシャドウを抜ける


その他
3月27日深夜 金星が魚座に入居

3月28日 金星・天王星がセクスタイル

3月31日深夜 火星が双子座に入居

4月2日 冥王星・エリスがスクエアのニアミス状態に
(1911年に正確なスクエアが形成され、その余韻となるニアミスが1912年に形成されて以来の、今度は前兆のニアミス。次の正確なスクエアは2020年1月26日から2021年8月28日(UTC)まで計4回起きる)


そして...
4月5日夕刻 牡羊座15°台で新月!


NGC1300



★3月満月のサビアン・シンボル★


  ではさっそくシンボルを見てみましょう。今回は太陽が2018年秋の満月、そして2015年春、天王星・冥王星最後のスクエア直後に起きた日蝕の位置と半分重なった位置に来ます。なのでシンボルも重なるものがあるけれど。初めて読んでくれるひとのために、もう一度掲載しますね(少しだけ違うところもあるかも?)。


🌕満月のベースとなるシンボル
 天秤座0°(乙女座30°)
『差し迫った責務への集中によって耳に届かない虚偽の呼び声』


  このシンボルは文字どおり、自分自身にとって一番大切な事柄...まはた目の前の喫緊の問題に対して全身全霊で打ち込む姿を描いています。そしてそんな姿勢のせいで、周囲のどうでもよい喧噪がまったく耳に入らないか気にもならない状態。あるいは「騙されない」状態。ただし一番大切な事柄といっても、そこは対人関係やパートナーシップを支配する天秤座の0°です。問題は自分ひとりだけのことではないはず。エリーズ・ポイントらしく、そこには常に「他者」の影があります。それは特定の親しい誰かかもしれないし、「公」という名の不特定のひとびとかもしれません。だからこのシンボルを大きく見れば「公務」や「公共のサービス」というニュアンスもあります。つまり、地に降りたって自分を見つめ、細部にこだわりをもって完璧を目指してきたのが乙女座の旅だったとすれば、ここに来てわたし達は天秤座の風に吹かれ、あらためて他者の存在を強く意識します。そして自分が広くも狭くも「全体」「グループ」または「二人」の中のひとりであり、その「全体」を見回した上でもう一度新たな意識をもって今一番大切なことに集中していくということ。


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 photo by Mabel Amber, still incognito on Pixabay


  原語は「unheard」で「hear/聞く」ということばが使われています。でも、「hear」は積極的に耳を傾けるという意味の「listen」とはニュアンスが異なります。おそらく耳には入っているのです。でも「unheard」...聞こえない。つまり聞こうとはしない状態。何故か? 今自分が必要としていること、または自分が必要とされていると感じる何事かに没頭し、全精力を傾けているから。

  このシンボルは、実際に周囲のために(または自分自身をも含む特定・不特定の誰かを想定して)何かに邁進するというエネルギーとして使われることもあります。でも、どうもそれだけではないようです。では太陽からの放射をみてみましょう。


☀️月に光を放射する太陽のベースのシンボル
 牡羊座0°(魚座30°)『人面の大岩』


  この度数は4年前の2015年、最後の天王星・冥王星スクエアが形成された直後に日蝕が起きた位置(魚座29°〜30°)と半分重なっています。当時のこと、覚えているかな? このシンボルは米国の小説家ナサニエル・ホーソーンの有名な作品のタイトルそのまま...。それは山あいの村に住む少年と、深い谷間のはずれにある、自然によって削り取られた人面そっくりの巨大な岩との物語です。今回、この度数は太陽の側ではあるけれど、黄道360°の最終度数としてとても重要。なのでちょっと長いけど、まずは物語のあらましから(知っているひとも多いとは思うけれど)。

  .......父親のいない少年は、その岩が大好き。慈悲深く、智恵があってひろくて大きくて気高くて、まるでどんな辛さや哀しみも受け止めてくれる、素晴らしいひとがそこに居るようで。 少年はインディアンの古い言い伝えでいつかその谷間に偉大な預言者が生まれ、成長するとその大岩そっくりの顔立ちになるのだと聞きます。 そしてその時から、いつの日かあの大岩の顔を持ったヒーローに会いたいと切望しながら生きていくのです。彼は何人もの自称ヒーローや偽物に出会い、そのつど失望を味わいます。幼いころから偉大な大岩と親しくこころを通わせてきた彼は、偽物を見分ける目を誰よりも持っていました。 やがて時が経ち年老いた彼は、誠実で慈悲に満ちた、つましい平修道士(肉体労働を受け持つ下級修道士)になります。ある時、日没の説教を乞われた彼。 はるかに人面の大岩を臨むその地に立って話し始めた彼の横顔。それは、彼が幼いときからずっと憧れていた、あの "グレート・ストーン・フェース" そのものではありませんか....そう、彼はいつの間にか言い伝え通りの人物、自分が探し求めていたヒーローそのものを体現していました。彼自身も、誰も気付かないうちに…あるひとりの詩人が夕陽に輝くその美しい横顔を見出すまでは..........これはそんな物語。


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        ホーソーンのこの小説が世に出たのは1850年です。その後「真の理想を探求する人間とその気高さ」を主題としたこの物語は米国の人々に広く親しまれ、子供に読ませる本として推薦されたり教室で取り上げられることも多かったようです。なので、マーク・エドモンド・ジョーズばかりでなく、サビアン・シンボルを降ろしたチャネラーのエルシィ自身がこの短編を知っていた、あるいは読んでいた可能性はかなり高いのではないでしょうか。けれど、度数順ではなくランダムに降りてきたこのイメージが黄道一巡りの最後の度数に合致していたなんて、彼女には知る由もなかったでしょう。

この 「人面の大岩」 は、実際に米国のニューハンプシャー州にあるキャノン・マウンテンの崖に実在したものだそうです。長い時をかけて氷河によって刻まれたその顔は、「山の老人」と呼ばれて親しまれてきました。ナサニエル・ホーソーンはこの岩から想を得て、少年と大岩の美しい短編を書き上げたと言われ、そこからこの岩も「グレート・ストーン・フェース」 と呼ばれるようになったのだとか。そして州のコインや切手にもなったそうです。けれど残念なことに、2003年に崩落してしまい、今は見ることが出来ません。


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 2003年4月26日崩落 その7日前に撮られた人面の大岩/山の老人の横顔


  この偉大なる「ストーン・フェイス」について、B.ボヴィは意外にもポーカーに例えてこんなことを言っています。

『ゲームの中では、誰もが目前の持ち札に激しく神経を集中する。ある者は相手を混乱させようと突拍子もないジョークや気に障るようなことを言い散らすし、ある者は持ち手を絶対に悟らせまいと、とことん石のような無表情を貫く。自分を有利に導くために、弱い手しか持っていなくても自信満々の笑みを湛えることもある。相手を陥れるためのブラフやフェイントはゲームの常道だ。何が「真実」で、何が「嘘」か、そして何が一番重要かを仕分けていくには、それなりの能力を要するだろう。』 そう、わたし達の人生にも似たようなことが言えるかもしれません。

  嘘、欺瞞、誤魔化し。おそらく自分の内部にも外部にも、大なり小なり常にそれは存在しています。わたし達は自分の中に嘘があるとき、他のひとの言葉も信用することが出来ません。 けれどまた、自分の中に積み重ねた小さな嘘に気付かずに「わたしは正しい」と思っていれば、羊の皮を被った狼にたやすく騙されることだってあるでしょう。 人面の大岩の実体は、大自然の力が長い長い年月をかけて刻んできた岩山の一部。 ではそれに意味を与え、偉大な預言者の崇高なシンボルに創り上げたのは誰? それはわたし達自身のこころ。真実の偉大さに憧れ、それを求め続けてやまない意識ではないでしょうか。わたし達は、自分がイメージする誠実さ、正直さ、高潔さ、賢さ、美、強さを外側に投影します。そしてそのイメージに少しでも近付こうとします。 あるいは、イヤな部分、憎しみを感じて許せない思いを外部に投影しては、断罪し、叩き落とそうとします。けれど、わたし達が外界に抱くイメージは皆...良くも悪くも、今このときの「わたし」そのものではないでしょうか?


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 photo by Henryk Niestrój on Pixabay


  今、黄道最終度数からの光を受けて半分の道程を終えた月。その月に導かれ、わたし達は人生のポーカーゲームに興じているところです。わたし達は目の前の持ち札に集中し、次の一手をじっと考えています。 ん?他の参加者が何か話しかけているようです。だけどテーブルを囲むひとびとは皆、自分にとっての敵。ならばそれは、わたし達の気を散らすための偽の呼び声「ファルス・コール」かもしれません。『どうせいい加減なこと言ってるんだ。そんなのに構っていられない』 いえ、でも...もしかしたら。その声は、ゲームを見物する高潔な第三者が誰かのインチキを見抜いて教えてくれたのかもしれません。もしかしたら、「ちょっと一枚手札が多くない? ミスしてないか?」なんて言ってるのかもしれません。その声は聞こえてる。でも嘘か? 真実か? ひととき耳を傾けるべきか? いや、聞く耳を持たずに集中し続けるか? その判断はわたし達次第。そして判断の基準となるのは、おそらくわたし達自身の内部で今もせめぎ合う、嘘と真実。それを今、わたしは真っ向から見つめ、識別出来ているだろうか?


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 image by SarahRichterArt on Pixabay


  誰かの世話をするときでさえひとりで完結する作業に集中してきた乙女座から、真っ向から対人関係に取り組んでいく星座宮、天秤座の入り口に至ったわたし達。ここで必要とされるのは、もう一度、自分の内部をよく整理しておくこと。そしてその上で、あらためて自分にとっての嘘と真実、取るに足りない物事と絶対に譲れない大切なこと、欲動の向かうところを確認しておくこと。それが何であれ、断罪したり飾ったりせずありのままにただ見ておくこと。きっとそれは、これから新たに歩むだろう道への杖と標になっていくのだと思います。


  それでは、メインとなるテーマにいきましょう。


🌕 満月のメイン・シンボル 天秤座1°
『身を貫く一本の針によって完全な存在となる蝶』


  これは標本となった蝶の姿。象徴としての「死」とその完全さを描いたシンボルです。いえ、「死」というよりも何かの終わり、そして新しい何かの「始まり」と言ったほうが近いかもしれません。対向する牡羊座1°のシンボルで水面から立ち現れ、この世界に生まれ出たわたし達は、ここで内海(牡羊座〜乙女座)を巡る旅を終えます。そして「他者」との遭遇、または「他者達との世界」(天秤座〜魚座)に分け入っていくことを象徴しているのがこの度数。だからわたし達はこの時点で「世界」という外洋へ出て行くことになります。じゃ、これまで培ってきた内的な体験、「わたし」という感覚、「わたし」を中心に思い描いてきた世界はどうなるだろう? 岬の灯台を過ぎようとするとき、船に乗ったわたし達はふと不安になります。果てしなく拡がる大海原。水面は深く色濃く、波は荒々しく吹く風も強い。遠くにポツポツと見える島影は岩礁だろうか? いったい何を頼りに航海してけばいいだろう? 羅針盤はどこ?


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 Image by kerttu on Pixabay


  このシンボルで、蝶は一本の針に貫かれ完璧な美の「結晶体」となって展示されています。では、完全な美を保つ蝶とは? おそらくそれは、サナギから生まれ出た後に初めていっぱいに翅をを拡げた瞬間、その刹那の蝶の姿かもしれません。何もかもが新しく、珍しく、ことばにならない希望と不安とそれからそれから...ことばにならないその一瞬。蝶としての全ての本能が花開く、二度目の誕生のとき。卵から生まれ、幼虫となりサナギとしてひとり夢を紡いだ時の流れ。その中で培ってきた全てが、今 一匹の美しい蝶の姿となって顕現しました。

もちろん、これからの蝶には険しい生が待っているかもしれません。ここまで生き延びてきたけれど、外界には蜘蛛の巣やら人間の網やら、その他あらゆる捕食動物達が口を開けて待っています。季節外れの暑さや寒さが体を弱らせるかもしれません。やがて美しい翅も色褪せ、破れていくでしょう。でも、今 蝶は一本の針に貫かれ、生まれたばかりの美しい姿を保っています。この蝶とは何でしょう?
 

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  それは、これまでの旅で見てきた全ての「夢」の集大成。知り得たこと、学んだこと、感動したこと、悲しかったこと、嬉しかったこと、湧いてきた怒り、辛く苦しかったこと、求め続けてきたこと、叶わなかったこと。それでも生きてきた。ここまで来た。その、全てです。

わたし達はここで、その全てを一本の針で貫き、透明なイメージの結晶 — わたし — としてこころに収めます。そしてそれを羅針盤として、これからまた新しい旅を始めることになります。前度数で一度自分を振り返り、整理し、嘘と真実を識別するよう促されたのはきっとこの門出のためだったのではないでしょうか。

  新しい旅...とは言っても、朝起きて周りを見ればいつもと同じ部屋。同じ日課、同じ顔ぶれ。そう思えるかもしれない。けれど、気付こうと気付くまいと、変化は待っている。変わり目はやってくる。新たなこと、思いがけないことに出逢い、波をかぶり、波に乗り、それぞれの海路を進んでいく。何処に行くのか? 

それを決めるのは、その時々のわたし達。日々エゴの葛藤に悩み、迷いながら。それでも。この存在のどこかに収めたはずの「一本の針に貫かれた完全体」としてのわたしが... あるときふいに立ち上がってくる。一番大切なもの。それはきっと「わたし」の生の本質を見つめ、感じ、受け入れ、生きようとするわたしなのだと思います。


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  なお、この度数には何らかの形を通した「イメージへの感応力」が備わっています。何かの折に、インスピレーションとしてことばの代わりに「カタチ」を感じ取るようなケースも見られます。これはそのひとの特質次第で深くも浅くも作用します。なのでここに個人的な惑星や感受点を持つひとに絵画、イラスト、写真、デザインなどビジュアル系の仕事に就くひとが多いのも、そこに理由があるのかもしれませんね。 いずれにしても、海王星が強力に働き、水星が逆行で海王星とのコンジャンクションに向かいつつある今はロジカルな思考が難しいとき。なので包み込むようなサウンドとともに、思いっきり美しいイメージで遊んでみるのも素敵なときの過ごし方になるんじゃないかな?


  では最後に光線の元となる太陽側のシンボルを添えておきます。これも2015年の日蝕、2018年秋の満月で触れた度数。長い解説だし以前と重なる度数のときはいつも迷うのだけど、春分と重なる満月は前の日蝕がもたらしたテーマの開花ともとれることから、あまり変えずに転載します(米国のアストロロジャー、セレステ・ティールの研究によれば強力な蝕は半年〜最長6年間効力を保つそうです)。


☀️月に光を放射する太陽のメイン・シンボル 牡羊座1°
『水面から女が立ち現れ、アザラシが浮上して彼女を抱きしめる』

 
  春分には毎年太陽が黄道360°の中でも最強度数のひとつ、牡羊座の0°の「開始点」に到達します。この度数のサビアン・シンボルは「 水面から女が立ち現れ、アザラシが浮上して彼女を抱擁する 」。ここが全ての始まり —「誕生」です。

これは混沌とした潜在性だけが濃密に存在する無意識世界から人としての意識がカタチをとって誕生しようとするさまを描写したシンボルです。そしてまた、永遠の謎に満ちてもいます。象徴としての受容性を表す女性という形態をとって、無意識の水から生まれてきたわたし達の意識。そしてどこからともなく現れ、それを「優しく抱きとめる(embrace)」アザラシ。このアザラシは何を意味しているのでしょう? アザラシは海棲哺乳類、海に生息しながら陸でも活動する動物です。


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  このアザラシは、地球の大自然を二分する水と地、海と陸という環境の両方をよく知り、どちらにも棲むことの出来る存在です。彼は二つの世界を知る者として、カタチを獲得した新しい仲間、新しい意識の誕生を迎え、受け入れ、優しく祝福しているのでしょうか? 彼女を護っているのでしょうか? エルシー・ウィーラーの伝えたことば「Embrace」の主な意味は、やはり好意を前提としたハグや、親が子供を護るように抱きしめることにあるようです。 

  けれどあるシンボルを読み解くにあたっては、そこから連想出来るあらゆる可能性やダブル・ミーニングを探る必要があります。B.ボヴィはこの重要なシンボルを解釈するにあたり「Seal」のもう一つの意味である「密封する」「封印する」「押印する」を意識におくことを提案しています。 

  わたし達は...生まれた瞬間に、二つの世界の使者であるアザラシに抱きしめられる。...ではもしそこで何かが封印されるのだとしたら?  それは生まれた瞬間のまっさらな意識に「 隠されたアイデンティティ 」の封印がなされることを意味しているのかもしれません。 そして、その隠されたアイデンティティをこそ追い求めて、わたし達は再び人生という未知の旅を続けることになるのかも? 


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  アザラシが持つ野生はその旅路に必要なエネルギーを与え、そこで封印されたアイデンティティは、わたし達の人生に表層意識からは隠されたモチベーションを与えるのかもしれません。これはわたし達の出生の瞬間、この人生の始まりを描くネイタル・チャートという「謎」を読み解くことにも重なるイメージです。 

        一方、サビアン・シンボルの本で一番読まれ、世界中のアストロロジャーが参考にしている 『An Astrological Mandara』を執筆したアストロロジー界の巨人、デーン・ルージャーは、このアザラシを無意識世界(水)から彼女を追って現れ、ぐっと抱き留めている姿として捉える視点を提示しています。つまり、生まれ出て再び確固としたアイデンティティに向かって旅立とうとする意識を、もう一度無意識の水(羊水/夢の母)の温もりとまどろみの中に引き戻そうとする、逆行・退行の運動性がこの哺乳類の中に秘められているという見方です。この場合はどちらかというと、アザラシやアシカというよりも同じ「Seal」という単語で言い表せる「オットセイ」の方がイメージ的に合うような気もします。  象徴としての海棲動物は全般にとてもセクシャルな意味があり、それはヒーリングとも分かちがたく結び付いているとも聞きます。ヒーリング…まどろみ…生の癒やしとして成立するセックス、そしてそこから後ろ髪を引かれつつおずおずと顕現してくる新たな意識たち...という感じでしょうか。アザラシ? アシカ? オットセイ? エルシィの脳裏に映った動物はどんな姿をしていたのでしょう。


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  とはいえ実際この0°のシンボルは、提示されたどちらの要素も含んでいるように思えます。前度数の牡羊座0°(魚座30°)では、人の顔をした大岩の内に人生のあらゆる体験が刻み込まれています。ここではその全てが溶解し、広大な海の元素として溶け込んでいます。そして、そこから今にも...ある「形」をとって現れ出ようとするわたし達の意識。

「生まれたね!生まれたね! ここからは何も持ってはいけないね!
 さぁ生まれたままで、二本の足で歩き出すかい? 
 それとも、沢山の思い出と一緒に
 安らぎとまどろみの子宮に戻りたい?」

「うん。まぁ...時々は戻りたくなる...かも」

  謎のアザラシに与えられた、役割の二重性。けれど、たとえ過去に成就したこと、やり残してきたことの記憶が封印されたとしても、それはわたし達の中に依然として存在します。年月を経た人面の大岩は崩れ去ったとしても、遺された記憶は異なる形をとって常にどこかで働いているのだから。それをたとえば「過去生記憶」のような「具体的な何か」に落とし込んで鋳型にはめる必要もありません。わたし達は存在の何処かに、ことばにならない「核」を持っています。そしてそこから放射されるイメージという個的な神話に従い、また新たなイメージを外界に投影しながら....これからも生きていくのです。


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  ここはエリーズ・ポイント。「公」と「個」、「社会」と「わたし」が交差し、切り結び、互いに影響しあう場所です。E.フランシスはこの度数を「Personal is Political(個であること= 政治的であること)」なポイントだと喝破していました。世界にも、身近なところにも、今まで以上に肌身に感じる変化が起きてくるかもしれません。突然の出来事に驚くこともあるでしょう。それでも、わたし達はこの十字路に来てひと呼吸し、再び新たな日々を生きていくのです。


  3月7日の新月からこの満月までに世界では様々なことが起きてきました。もう随分前からこのブログでは変化とその加速について書いてきたけれど、最近はその量と速度が増してきたように感じられます。今、この瞬間も。まるで地上のあちこちから大きな呼び声や叫び声が聞こえてくるようです。

けれど今 再び迎えるひとつの節目にあって。高鳴る鼓動とともに、新しい第一歩を踏み出したいと思います。

わたし達それぞれの「そこ」に向かって。普通に。

たとえ辿り着けるかどうかは誰にもわからないのだとしても。



Messier78




have a great trek!!!★

hiyoka(^_^


hiyoka_blue at 20:58|PermalinkComments(15)新月(満月)の星読み | パーソナル・アストロロジー

March 17, 2019

レイモンド・メリマン 週間コメント3/18【金融アストロロジー】

http://www.mmacycles.com/
レイモンド・メリマン・コラム  2019年3月18日(フリー版より)

翻訳:hiyoka
文中の日付・時間はすべて米/東部時間です。
自身の学習のための翻訳文です。日本語になりにくい箇所は意訳があります。また知識不足による誤訳があるかもしれません。原文は上記サイトで無料で閲覧できますので、よろしければそちらもご参照ください。またご意見やご感想、間違いのご指摘などいただけましたら嬉しいです。また投資日報社さんでは無料コラムには記載の無い情報や、文中のメリマン用語の解説も掲載されるそうですので、そちらもぜひご覧ください。 翻訳者はこの記事をアストロロジー学習者向けのエッセイに近いものと捉えています。詳細な相場予測や何らかのトレードを推奨するものではありません。投資に関するアドバイスをお求めの方は投資日報社さんまたはMMAサイトにて講読版をお求めください。また文中の は翻訳者によるものです。原文が "ファンキー" な時は、時々お節介な訳注が入るかもしれません。
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今週のメリマン・コラムは ≪先週を振り返って≫ を抄訳とさせていただきます。


≪ 先週を振り返って ≫


引用文

・ホワイトハウス前主席経済顧問が特に国家通商会議議長と商務長官を名指して語る “中国に対する関税など効力を持たない誤った戦略によって貿易戦争に敗北しつつある米国の現状”という話題についてのニュース(cnbc.com 2019年3月17日付)

・“英国議会はEUからの合意なき離脱はしないとする予想外の決定を下しメイ首相のブレクジット戦略をさらなる混沌へと引き込んだ”というニュース(Wall Street Journal 2019年3月14日付)


本文

  混乱と混沌、噂話、ゴシップ好き、出来事を互いに相手のせいにして非難し合う風潮など、魚座を逆行するトリックスター水星に影響を受けての世相。その中で日々目にすること、読むこと、聞いたことを信じ込まず、深い直観を頼りにすべし...という警句的な文言が再び書かれています。もし内なる声も聞こえず混沌とした感覚を覚えるなら、何も判断することなく、動かず、ただリラックスしているほうが良い。そして何としても心身のストレスを昂じさせるような対立関係は避けるべきだ、とも。

その他、株価関連ではおしなべて好調だったヨーロッパ、アメリカ大陸、マチマチだった環太平洋地域での結果と原油、貴金属、生牛市場の足跡についても触れ、いずれにしてもこれまでヒントとして示されてきたジオコズミック・サイン(魚座の水星逆行及び水星が支配する双子座の月)の示唆に沿っての値動きだったことが説明されています。



≪ 短期ジオコズミクスと長期的考察 ≫


  今週は宇宙的観点から見てまたもう一つの「シフト」が行われる時だ。

まず第一に、3月16日〜17日は水星逆行(3月5日〜28日)の中間地点だ。サイクル高値または安値が逆行開始日近辺で示現しなかった市場はどれもが、その前後2取引日のうちに反転する有力候補となる

第二に、3月20日は春分(春の始まり)であると同時に満月だ。季節の変わり目、そして黄道最後の星座宮(魚座)から始まりの星座宮(牡羊座)への移行はマンデーン・アストロロジーにおいて常に重要かつ強力なシフトの時節とされている

厳密に言えば、キリスト教徒にとっては牡羊座の満月を過ぎてから最初の日曜は復活祭のホリデーなのだが、今年は何らかの理由があってそうはならない。復活祭は次の満月、つまり4月21日の日曜となる。きっと誰かがカレンダーの印を間違えたのだ*

  いずれにしても、太陽の魚座から牡羊座への移行は、人間心理が深い眠りや瞑想状態から、非常に活動的でいくぶん攻撃的かつ争い好きでさえある状態に移行することを示唆する。魚座において、私達はどう「感じる」かを凝視してきた。だが牡羊座では、行動に移すことを望む。だが、3月28日まではいまだに水星が魚座を逆行している。誰もが何かを行動に移す準備が出来ているわけではない。世界を見れば、多くの指導者達がもっとよく "話し合う" ことを望んでいる。いつまでか? 自分が為すべきことについて、彼らが現段階よりも「良し」と "感じる" ようになるまでだ。そしてそれがいったい何を指すのか、解き明かすことが出来ればの話だ。これは天上地上を問わず今のような状況の下では簡単なことではない。

しかしながら、行動をスタートさせたいという(無意識領域の)衝動は今週末には強い力となるだろう。3月20日、火星が冥王星に対し調和的なトラインを形成する。そして翌21日、金星が火星に対し挑戦的なスクエアを形成する。火星は牡羊座の支配星だ。火星は牡羊座と同様に、行動を欲する。だが金星(合意と歩み寄り/妥協の惑星)とのスクエア、そしていまだに魚座を逆行中の水星の影響下にあって、新たな行動開始がスムーズに運ぶかどうかは疑わしい。『ブレーム・ゲーム』すなわち「ある出来事をひたすら相手のせいにして非難し合い、実際の解決には何の役にも立たない状況」が、まぁこの春には満開の花を咲かせそうだ。


  株式市場を念頭に置いて見るなら、トランシットの火星がニューヨーク証券取引所設立図(1972年5月17日)の水星と太陽にコンジャンクト、水瓶座終盤度数に在泊する設立図の冥王星にはスクエアとなることに注目だ。

このトランシットは3月18日〜27日に発効するが、これは直前の天井からの急落と同期することが多い。換言すれば、この時期はなおも短期狙いの積極派で攻めの売買が得意なトレーダーに向いているということだ。投資志向のポジション・トレードは来週以降に順番が回ってくるだろう。

したがって今週は、コミュニケーションにおいては『忍耐こそが美徳』だが、短期のトレーディングにおいてはそれが不利益をもたらすことを肝に銘じておかねばならない。


* ここでメリマンさんは冗談めかしているが、実際は次のような子細がある。キリスト教の初期段階では、異なる教派の教会がそれぞれ異なる手法で月の公転周期を計算し、それを元に復活祭の日付けを決定していた。その後復活の時期に関する見解は合意を見ることなく幾世紀も続いている。けれどもたまにその日付が同期することもある。西方教会でイースター・サンデーと言えば、常に春分の次の満月後の日曜を指す。そんなわけで現在キリスト教における復活祭は毎年3月22日〜4月25日までの間の異なる日付となる。今年はたまたま春分が満月と重なるために、この満月が「春分後」とは見なされなかった。ちなみにこれまで最も早期の復活祭は2008年3月23日、最も遅い時期の復活祭は2000年4月23日だったという。




訳文ここまで
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hiyoka_blue at 20:55|PermalinkComments(0)金融アストロロジー 

March 10, 2019

レイモンド・メリマン 週間コメント3/11【金融アストロロジー】

http://www.mmacycles.com/
レイモンド・メリマン・コラム  2019年3月11日(フリー版より)

翻訳:hiyoka  
文中の日付・時間はすべて米/東部時間です。
自身の学習のための翻訳文です。日本語になりにくい箇所は意訳があります。また知識不足による誤訳があるかもしれません。原文は上記サイトで無料で閲覧できますので、よろしければそちらもご参照ください。またご意見やご感想、間違いのご指摘などいただけましたら嬉しいです。また投資日報社さんでは無料コラムには記載の無い情報や、文中のメリマン用語の解説も掲載されるそうですので、そちらもぜひご覧ください。 翻訳者はこの記事をアストロロジー学習者向けのエッセイに近いものと捉えています。詳細な相場予測や何らかのトレードを推奨するものではありません。投資に関するアドバイスをお求めの方は投資日報社さんまたはMMAサイトにて講読版をお求めください。また文中の は翻訳者によるものです。原文が "ファンキー" な時は、時々お節介な訳注が入るかもしれません。
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今週のメリマン・コラムは引用文を省略した抄訳になります。
なお、来週はもし重要なポイントや興味深い動きが示唆されていればその部分のみの訳文とさせていただきます。(特に気になる記述がなければお休みするかもしれません)



≪ 先週を振り返って ≫

※冒頭では世界の株式市場に起きた下落の様相とそれに関連してECBの発表、米国の雇用統計、中国への関税問題を報じる CNBC.com の記事を2本引用しています。

  先週は金融市場における突然のリバーサルに相関するジオコズミック・サインの典型例が示現したが、それは経済・銀行界の指導者による予想外かつ驚きの発表によってもたらされた。先週の市場における取引環境はまさしくこのコラムで述べたとおりで、ダウ平均は1000ポイント近く下げて前週の高値から3月8日金曜の安値まで4%下落した。世界の他の株式指数も3月4日月曜の高値から3月8日金曜の安値まで、予想どおり4%かそれ以上の下落をみている。たとえば日本の日経はこの4日間で8%下げた。中国の上海総合は3月7日木曜のサイクル高値から3月8日金曜の安値まで、たった1日で5%以上下げている。

学習を目的とする読者の皆さんには、これらのコメントを繰り返し読んで頭に入れ、もっと細部を詳しく見直してみることをお薦めする。先週3月4日付のコラムでは、ジオコズミック・サインがもたらす市場環境についてこう述べている。
  “今週は宇宙的パースペクティブから見て最も興味深い週となるはずだ。事実上、この時間帯は3月1日金曜、金星(お金と愛情)が天王星(予期せぬ事、ボラティリティ、混乱や崩壊、突然の変化)にウェイニングスクエアを形成した時から始まった。元々このアスペクト自体が、前後4取引日の内に株式指数など多くの金融市場に起きるリバーサルへの相関性を持っている。3月5日火曜には水星が魚座で3週間にわたる逆行運動をスタートするが、これは奇妙な期間になりそうだ。何故ならこの「トリックスター」が魚座を運行する間に3回も海王星とコンジャンクトするからだ。水星は情報やコミュニケーションのようなデータを支配する。海王星と魚座はインスピレーションを支配する。だが魚座に在泊する時、水星は働きが弱くなる(デトリメントまたはフォール)。だから..... その結果は混乱や当惑、または事実として流されたニュースに間を置かずして事実とは異なるという異議が出され、その結果、事実上のミスリードや矛盾した話として伝わるといった具合だろう。..... 今週は3月6日に魚座の新月が起きる。これは水星が逆行を開始した翌日、海王星にコンジャンクトして起きる新月だ。だから物事が新月で明解になるなど期待出来ない。”

  先週はまた、3月6日に天王星(想定外の驚き、混乱、分裂)がお金、通貨、そして銀行を支配する牡牛座に戻ったという事象でも注目に値した。先週指摘したように、3月6日は海王星(不確実性、現実と幻想の間に生じる矛盾)とコンジャンクトして起きた魚座の新月で、しかも水星逆行(予定変更)の翌日だった。当然ながら、世界の経済ミラクルは突如としてひっくり返った。EUとその中央銀行は予測していた経済成長に届かず、尽きることのない金融緩和の道を進み続けるしかないことに気付いた。似たような思い切った金融緩和策を過去数年にわたり続けた後も、経済が弱すぎるのではないかという怖れのために金利を引き上げることが出来ない。

ブレクジット危機を解決する能力の欠如もまたEU、英国、そして他の世界各国にとっての重石となっている。過去のコラムでも述べてきたように、ブレクジットとヨーロッパ連合の問題は、何ら明確な進路も見えないままに曖昧な未来に向けて何だかだと続いていくだろう。EU離脱を決めた国民投票は2016年6月下旬、強力な火星逆行の下で行われたのだ。

  過去1週間を顧みるなら、魚座で水星が逆行するのとほとんど同時に起きた魚座の新月の下で、世界中の経済は突如としてその航路からそれた。前週には誰もが楽観の中にあり、株式市場は年初来高値に沸いていた。そして多くの指数が月曜までその勢いを保った。その後、タイタニック号の船長がそうであったように、誰もがついにそのことを、そう、前方に氷山が立ちはだかり、私達が今にもそこに突っ込んでいこうとしていることを認識したのだ。世界経済 — とりわけEUの経済 — は、大衆がそう信じるように経済、銀行、政治、各界のリーダー達が誘導するところの(偽の)強さとは程遠い状況だ。実際のところ経済は弱く、傾く寸前に来ている可能性がある。

木星・海王星スクエアの中央部(2019年中)へようこそ。それは年末に控えるカプリコーン・ステリウムの崖 — 投資家がそこに何かが待ち構えていると感じ始めている、その崖っぷちに近付いているということだ。

こうして私達は、それぞれにミュータブル・サインである自らの支配宮、射手座(誇張と希望)と魚座(信頼、だが「歪曲された事実」も含まれる)に在泊する木星・海王星スクエアが持つ二つの顔を目撃している。その一方は、アラン・グリーンスパンが言うところの「非合理な活況」、つまり市場が希望と信頼以外には何の理由も見当たらないのに高騰するという状況だ。もう片方は、ヒステリーとパニックに陥りやすく、最悪な状況への恐怖心以外には市場に何の理由も見出せないにもかかわらず、滝落としが始まるという状態だ。そのどちらにもリアリティーはない。どちらも誇張されている。「真実」と「正確な情報」は、ここでは捉えがたい。まがい物、または歪曲されたニュースが「現実」として流布されていく。したがって、私達が頼れる選択肢はたった一つしかない。すなわち「自分自身を信じよ」だ。

  ところで、世界とヨーロッパの経済見通しが変わるという先週のショックは、先週の宇宙的アレンジメントに付きもののシンボリズムを反映していたわけだが、これにより株式と通貨の両市場がちょっとしたパニック発作に襲われた。ユーロ先物は年初来新安値まで売られ、世界の多くの株式指数が先週月曜3月4日につけたばかりの直近高値から予測された4%またはそれ以上の下落をみた。これはまさに、これらのジオコズミック・サインに関する歴史的研究が示唆したとおりの結果が顕れたことになる。



≪ 短期ジオコズミクスと長期的考察 ≫


  木星・海王星スクエアは、太陽が3月6日に海王星とコンジャンクトした後に3月13日には木星とスクエアを形成することをもって、今や点火された状態にある。この「トランスレーション」は、私達が木星・海王星スクエアの一方の顔を見ることを示唆するものだ。それはヒステリー、怖れ、パニックの顔だ。だからこの力学と同期して、株式市場とユーロ通貨にはかなり大規模な下落が起きている。

魚座の水星逆行は3月28日まで続くことから、今後3週間の間、ニュースは希望と恐怖、活況とヒステリーの間を複数回揺れ動くような状況が続きがちだ。それはトリッキーで不安定な取引環境を示し、そこではテクニカルな指標が普段ほどアテにならないだろう。トレーダー諸氏はあまり長い時間ポジションを維持しないことだ。この時期は短期専門の投機家に適した環境だからだ。

  今週終盤と来週初めは特に気を付けなければならない。水星逆行がその中間地点に到達する(3月16日〜17日*)。3月5日の逆行開始時点の近辺までに反転しなかったどの市場も皆、この逆行中間地点(3月15日金曜または3月18日月曜)の前後1日中にリバーサルを起こす候補の筆頭だ。この時期はまた、混乱と不確実性がその極みに達する可能性がある。これは魚座の水星逆行に特有の困難な側面だ。
* 水星逆行中間点への到達:日本時間では3月15日午前10時42分頃

  もちろん、これにはポジティブな側面も存在する。想像力が豊かな人々にとっては、素晴らしいインスピレーションに恵まれる時となる可能性があるのだ。また、温暖な浜辺でゆっくり鋭気を養うにも非常に良い時期だ。私がマイアミのフォート・ローダーデールで今週末に講演するのもそれが理由だ。そこで何人かの読者の皆さんにお会い出来ることを楽しみにしている。







訳文ここまで
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hiyoka_blue at 20:54|PermalinkComments(0)金融アストロロジー 

March 06, 2019

🌑3/7の新月―みんなに降り注ぐエネルギー(フツウの戦士サンたちへ♪)

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    新月は前回からの課題を経て、次の新月までの約1ヶ月をかけて取り組む新しいテーマが開示される時。 そしてこれは生まれた星座に関係なく、地球に生きるわたし達みんなに平等に降り注ぐエネルギーです。わたし達はこのエネルギーを使って日々、自分なりに考え行動していきます。その現れはひとの数だけ様々ですが、やがてはお互いに影響しあいながら、社会・国・世界の潮流を作っていきます。これは言い換えると、わたし達を取り囲む「空間の雰囲気」です。星読みの世界から見れば、誰もがその中で生き、そのテーマに呼応して...(素直になったり、反抗したり、無視したりしながら...)自分なりの人生を創造していると言えます。 その意味でも、刻々と変容していく惑星エネルギーの流れをおおまかに知っておくことは、きっと何かの役に立つのではないでしょうか。
    例えば... シンボルの光景やキーワードを覚えておくだけでも、何かに迷った時の指針になるはず。ではでは今月も行ってみます!(^_-)
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★新月タイムスケジュール★
願い事やアファメーション、ヒーリング・メディテーションなどしたい方は、もし可能ならこの時間帯に合わせてみてください。エネルギーの高まりを感じとれると思います。(^_^)

【地方平均太陽時: ソーラータイム(LMT) 】
東京・関東ローカルで  3月7日01:23前後、北海道周辺で 01:29前後、関西方面(日本標準時ならこの時間)は01:04頃、沖縄周辺では0:54前後に魚座 15°47’ で新月となります。

前回の新月のテーマについてはココ、満月についてはココをご覧ください。

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Sabianシンボルによる【 新月がもたらすテーマと挑戦 】
*ここではデーン・ルージャー(ルディアー)版やマーク・エドモンド・ジョーンズ版の解釈ではなく、透視家エルシィ・ウィーラーの伝えた象徴の言葉をそのまま書き写した「オリジナル版サビアン・シンボル」を使ったブレイン・ボヴィの解釈を参考にし、アスペクトを加味して読んでいます。
*テーマはひとつの意識の流れを表したものです。この流れは順不同に現れたり循環したり、ひとつだけ突出して感じられる場合もあります。また、解釈の内容はその時々のアスペクトを意識しながら抽出しています。


【月・太陽 ♓️魚座15°→16°― 発効期:3/7~4/4 】

 →🌑🌞"An officer preparing to drill his men"
    『兵の軍事教練に備える将校』
            ↓
 →🌑🌞"The flow of inspiration"
    『インスピレーションの流れ』

【テーマがもたらす雰囲気と挑戦(順不同)】
 ※ひとによっては数日前から前倒しで感じられると思います。

→★いざ、という時に品位と尊厳に満ちた態度を保てるかのテスト
→★渦中に入らず状況をよく見据えながら戦略を立てる必要
→★一定の物事や所作の繰り返しを通して自分をベストな状態に整える
→★手近にある物や簡単に済ませられる事で間に合わせてしまう心理
→★自分の中に共存する「知性」と「獣性」両方のバランスを取る
→★自己の深い内的宇宙から立ち上がる直観とその源泉を信頼する
→★解ってはいても無意識の本能的な欲動に抵抗しがたい状況
→★セクシュアルな衝動をクリエイティブな表現に変換して使う
→★単なるハッタリや虚勢と本物の強さとの違いを明確に見る体験
→★社交的な常識、儀礼的なつき合いの仮面を捨てて率直にふるまう
→★抑圧や閉塞感の中でも「隙間」を見つけて別空間に出るコツを掴む
→★自己を取り巻く環境の「気」の流れを変える、または整える必要
→★よどみない知力を生み出すために生きものとしての生命力を回復させる必要
→★ハッとした拍子に何か(瞬間的に消える)大事なことを思いつく
→★血液の滞りや呼吸器関連の健康に注意
→★思い立ったことを伝える際に適切な表現法を一考する必要
→★深い内的宇宙に眠る原初の力と自我を隔てる壁を越える必要・・・→


エネルギーのポイント:前回の新月『集中し弛緩し集中し突き抜ける』
                    
            今回の新月全ての内的力が融合する一呼吸への集中
                             

190307NM


★3月新月の星模様とチャレンジ ★


牡牛座入りする天王星については前回の満月記事で触れたので、今回は後半のサビアン・シンボル解説を補足する感じでいってみます。

3月6日未明、魚座29°台から水星逆行開始(太陽・ヴェスタ・海王星がほとんどコンジャンクト)、そして同日天王星が最終的な牡牛座入り

太陽・月・海王星・ヴェスタがコンジャンクトでアスボルスにスクエア
 土星にセクスタイル

3月15日 水星逆行の中日(28日に順行に転じる)

その他
水星・カイロンがコンジャンクト
ノード軸にリリスがTスクエア
リリスとSノードからジュノーにクァドリフォーム
火星とパラスがクインデチレ、イクシオンとセスキスクエア
 ヒュロノメとトライン

パラスとルシファーがオポジション
木星からキラルスにクインカンクス
 木星とBMリリスからキラルスにYOD


3月11日 火星・海王星セクスタイル
3月14日 火星・土星トライン
3月20日 火星・冥王星トライン


  今週いっぱいは水星逆行のストームフェーズ。水星逆行は右脳と左脳のスイッチング、または左右を隔てる壁が曖昧になると言われる。特に今回は海王星が強力に働く。だから今までの思考回路が綺麗に舗装された高速道路だったとすれば、水星逆行の瞬間からそれがぬかるんで弾力のある凸凹道に変わり、高低差も激しく道路標識もアテにならないという感じに近い。そんな中で、ハイな状態が続くひとがいるかもしれない。また特に逆行当初のストームフェーズでは水星の持つ欲望が強調される。なのでコミュニケーションや自己表現への欲求、「話したい」という気持ちの高まりによって Twitter や フェイスブックなどのSNSも賑わいそう。ただ無意識の行動が多くなったり、周囲の「気」を知らないうちに吸収して良くも悪くも影響を受けやすくなるので注意は必要かな。けれどそのぶん、感受性は高まり明晰夢を見る機会も。例によってPCや電子機器の不具合、伝達ミス、時間や動作の遅れ、集中力の欠如による事故にも注意。

水星逆行の中日には太陽と逆行の水星がコンジャンクトする(午前11時頃)。これはつまり、地球・水星・太陽が一列に並ぶということ。水星逆行中は思考の筋道がアテにならないことが多いけれど、この日は全体的な「筋」を支配する太陽の影響でひととき社会的な思考への引力が強まり、「滞っていた仕事を早く仕上げなくては」とか「何か意見を言わなくては」などというプレッシャーを感じるかもしれない。ただ逆行運動そのものが変化するわけではないので、コミュニケーションは引き続きゆっくりと確実に、手すりを掴みながら進めたい。相場でも逆行の中日前後は局面が変わったりトレンド転換する市場が出たりすると言われるけれど、このような太陽からの影響もあってのことなのかもしれない。


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  海王星とヴェスタにコンジャンクトの新月はイメージとしては「漆黒」で、内側に炎を秘めながら五感を頼りに大切なものを求めて暗い海を渡っていく...そんな感覚に似ているかもしれない。ダーク・ファンタジーやゴシック・ロマンス、サイバー・パンク的なテイストの表現には向きそう。「孤高の存在」や「ダーク・ヒーロー」といったイメージが魅力的に感じられるかも?

ただし手探りの暗い海はいいのだけど、行動を司る火星がイクシオンやパラスとハードアスペクト。それにハンプティダンプティやスウィンドルといった一癖も二癖もある小惑星とコンジャンクト/パラレルなので、あまりファンタジックな冒険に出すぎるとうっかり塀から落ちて痛い思いをすることも。。 また火星とトラインのヒュロノメは主に自分の中の「喪失感」や「あのとき気付いていれば...」という後悔の念を暗示する。これは人間関係、とりわけパートナーとの関係に影響しやすい。近しい間柄でも侮らず、コミュニケーションはしっかり誠実に取ったほうが良いと思う。リリスがノード軸にTスクエア、そこにキラルスやネッソスが絡むので、産む・産まないの選択という問題に直面するケースも考えられる。(あるいは、これは米国で論議されている中絶保護法に関連しているか、またはこのところ報じられることが増えた子供の虐待に関連するのかも?)


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  3月11日~3月20日の火星による海王星、土星、冥王星へのアスペクトを簡単に言ってしまうと「段々と深みを増してくるプレッシャー」と考えられる。葛藤を抱えつつも注視、静観、当たらず障らずという心がけが社会的には良さそうだけれど、土星とのトラインでは何らかのコミットが必要になりそう。穏やかにエンジンをかけ、暖機運転を十分に。ゼロヨンを仕掛けられてもニッコリ笑い、急発進なんてしない。けれど20日前後の冥王星とのトラインあたり(満月でもある)は小さな山場になるかも。ここでは真剣な対応と集中力が必須になるかもしれない。なのでやはり暖機運転はしておきたい。

その他。この時期はふとした優しさに触れてこころが動いたり、慈愛に満ちた慈善的な行為に感動するかもしれない。けれどその中には利己的な目的を隠し持った企てが混じる可能性もあり、その識別には直観力が必要になる。特に新月のステリウムが双子座のアスボルスとスクエアを形成しているので、思考や感情というよりは「体の声」によく耳を傾け、大切に扱うことが重要なポイントになりそう。


そして...
3月21日 6時59分 春分
3月21日 10時43分 満月!


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★3月新月のサビアン・シンボル ★



  満開の梅の次は桃の花、そしてもうすぐ桜の季節。東京近郊もまだ朝晩は寒いけれど、日射しはずいぶん暖かくなってきました。そしてもうすぐそこに、魚座の新月。毎回、魚座の新月はどことなくミルク色の霧がかかったような雰囲気を持ちますが、とりわけ今回の新月はその霧が濃密になりそうです。霧というよりも、まるでジェリー状の海の中を進むように感じるひともいるかもしれません。なぜなら新月直前に水星が魚座最終度数で逆行を開始し、魚座の中盤度数でその力を全方向的に浸潤させている海王星とのコンジャンクトを目指して後ずさり中だから。つまり、この新月はちょうど水星逆行のストーム・フェーズのさなかに起きるということです。この魚座の水星逆行と海王星とコンジャンクトした新月については、ひとつ前のメリマン・コラムでも触れられていました。そこから一部を引用してみます(主にファイナンシャルとマンデーン・アストロロジーの観点から水星逆行期とその間の人間心理について語られているので、まだのひとはぜひ記事本文を読んでみてください)。

  ‟3月5日火曜(日本時間6日水曜未明)には水星が魚座で3週間にわたる逆行運動をスタートするが、これは奇妙な期間になりそうだ。何故ならこの「トリックスター」が魚座を運行する間に3回も海王星とコンジャンクトするからだ。海王星と魚座はインスピレーションを支配する。だが魚座に在泊する時、水星は働きが弱くなる(デトリメントまたはフォール)。だからこの期間に為される情報伝達の試みはどちらかというと降って湧いたインスピレーションに基づくものか、あるいは説教じみたものに近くなる。ファクトやリアリティに基づいたものとは言い難い。...

  今週は3月6日(日本時間7日午前1時4分前後)に魚座の新月が起きる。これは同じ魚座で水星が逆行を開始した翌日、海王星にコンジャンクトして起きる新月だ。だから物事が新月で明解になるなど期待出来ない。この新月期はたとえどんな人間であれ、次の事柄に気を付けることを強く薦めたい。すなわち、何かを口にする前によくよく考えること。そして喋り終えたら、自分の言った言葉の意味を相手が正しく理解したか確認すること(相手が言った事を自分が正しく理解しているかも当然確認すべきだ)。....”

― メリマン・コラム 3月4日付 ≪ 短期ジオコズミクスと長期的考察より ≫


  では、わたし達個人の心理/精神にとって、この新月期はどんなテーマをもたらすでしょう? 上記のコラムでメリマンさんは、この期間の情報伝達の試みを「インスピレーション」に基づくもの...と表現しています。そして、この新月が在泊するメインのサビアン・シンボルも『インスピレーションの流れ』。これはもう、いかにも魚座のど真ん中らしいフレーズではないでしょうか? では今回はメインのシンボルから見てみましょう。

新月のメイン・シンボル:
魚座16°『インスピレーションの流れ』


  ところで...インスピレーションっていったい何なのでしょう? よく『インスピレーションが降りてきた』なんて言うけれど、そのことばには、まるで天の何処かに発想の源があって、それをたまたまキャッチするか、与えられた...という感じの響きがあります。確かにアストロロジーの観点からすれば、太陽、月や惑星達、小惑星や太陽系辺縁の存在は、わたし達の思考や感情のシステムを様々な方向性から刺激してくるけれど。でもそのこと自体が何か素晴らしい「インスピレーション」を授けてくれるわけじゃない...。具体的な戦略を教えてくれるわけでもなければ、成功の秘訣を囁いてもくれません。


flow


  たとえば木星がネイタルの金星に "吉角" とされるソフトアスペクトを形成したからといって、別にそれだけで恋愛が成就するわけではないし、寝ていてお金が儲かるなんてこともないでしょう(たぶん)。いわゆる「願望成就」に成功したとすれば、それは木星の拡大する力と金星の調和的な刺激を受けて、そのときの自分が相手や周囲と状況に対して調和的な発想に傾きやすくなるということ。そしてそんな自分が創り出す雰囲気や態度によって、良い結果を導き出す(または引き寄せる)可能性がいつもより高くなるということ。それも、もしポジティブに使えればの話。だから金星や木星のソフトアスペクトが来たからといって「ラッキー♪」とは限りません。そのときの自分自身が惑星達の刺激を活かすだけの器であることが必要だし、ことばや行動の潜在的な力が備わっていなければ何も変わらないかもしれません。そして、集中するべきゴールが明確になっていることも必要です。そうでなければ、せいぜい何となくウキウキするとかそんな程度で終わる可能性が高いと思います(もちろん、それだけでも楽しいことではあるけれど)。

世の中は、星々からわたし達自身に向けて送られるダイレクトな影響力だけでなく、それを受けた人々を介して二次的、三次的にスパークしていく様々な刺激に溢れています。そんな、目に見えない様々な火花のうちのどれかにピッと触れた、そのとき。自分の中に新しい何か ― 視点、発想、イメージ、音 ― が生まれる。音・匂い・ことば… ふとしたきっかけで生まれる発想や思い付き。 あるいは、輪廻の波の底深く忘れ去られていた何かの呼び声を思い出す…。


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  おそらくインスピレーションの流れとは、わたし達の胎内宇宙をひと知れず駆け巡っている「いのちの力」をその大本として指すのではないでしょうか。そしてそれがそのときどき、外界の様々なスパークに呼応して打ち上げる、美しいいのちの花火。

わたし達を「ここ」に存在させ、森羅万象を映し続ける、その大本のエネルギーは、永遠に流れ続けて途切れることがありません。わたし達がその流れにふと触れるとき。それはわたし達が気付こうと気付くまいと、まだここに生まれ出ていない全ての "いのち" に触れるときです。

そして「それ」はわたし達それぞれのアンテナに触れ、思考のシステムに小さな風穴を開け、そしてそれぞれが抱える「物語」に沿って翻訳され、生き生きとしたイメージや思考となって "カタチ" を与えられていきます。 いったんわたし達の体内で認知されたインスピレーションの流れは、今度はわたし達を動かし、進ませ、何かを創り出すためのエネルギーとなって働きます。
 

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  わたし達それぞれの物語…それぞれの、神話。インスピレーションの流れはわたし達の意識の源に触れ、刺激し、そこに眠っている遠い記憶を呼び覚ますかもしれません。それは幼い頃に見た一枚の絵かもしれないし、誰かの呼び声かもしれません。もしかしたら、もっとずっと遠い記憶…わたし達の細胞に眠る、はるか太古の宇宙が生まれたときの「音」かもしれません。 

意識しようとしまいと。 わたし達のふとした思い付きの背後には、信じられないほど無数に積み重ねられてきた人類の "今" の集積が…この手を通して、想いを通じて、蘇り、生まれ変わりたいと待ち望んでいるのだと思います。いのちの流れは、わたし達のこころと体にひっそりと眠る全創造の歴史を知っています。そして、インスピレーションに従って生み出されたもの達は、やがて人々に共有されていきます。たとえそのスケールがとても小さいものでも、あるいは大きくても、生まれたもの、音、ことばは放たれ、見知らぬ何処かで次のインスピレーションの流れに再び加わるべく、影響力を持っていきます。それが愛に満ちたものであろうと、哀しみや怒り、または呪詛に満ちたものであろうと…。


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       ところで、魚座16°に対向し、補完や対照性を表している乙女座16°のシンボルは、『オランウータン』です。オランウータンは別名「森の人」と呼ばれています。「森」ってサビアンシンボルに時折出てくるイメージだけど... 本物の「森」って、わたし達が普段暮らしている街や村とはまったく別の世界です。鬱蒼と茂る木々、下草、菌類、そして様々な虫や動物達の領域。そこにはわたし達とは異なる法が生きています。そんな森に暮らすひと ― オランウータンは、わたし達がとうに失ってしまった野生の本能を持ち、その掟に従って生きています。

では、今のわたし達は本当に野生の本能を失ってしまったのでしょうか? …まぁ、自分をふり返ってみても、現代的な暮らしを享受する日々の中で確かに相当ナマってしまっています。  でも、もし生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされたらどうだろう? 切羽詰まったとき、何かに追いかけられたとき、咄嗟の選択が物を言うとき…わたし達の中で何かが目覚めるなんてこともあるかもしれません。いえ、そんな特別な状況じゃなくても、例えば体中が振動するような太鼓の音を聴いたとき、手が、足が、腰が、ひとりでにリズムを取って動き出したりするのではないでしょうか? こころがワクワクと踊り出すような? 血汐がうねるような? そんなとき、わたし達は自分の中に解放されたがっている「力」があることに気付きます。 普段は気にも留めないでいた、あるいは無視していた、それ自体で自立したナマの「いのち」のエネルギーに。

このシンボルには、わたし達が太古から連綿といのちを繋いで受け継いできたいのちの力、社会の規範に矯められることなく奥底に息づき、生きる本能として働いてきたエネルギーをどう使い、どう表現し、どう解放していくか? という問いかけがこめられているように思えます。 それは内なる存在のエネルギー。長い長い歴史の中で、あるときは抑圧され、あるときは暴走しながら、わたし達を「今・ここ」へと進めてきた、否定することの出来ない原動力です。それが今、新月を支える力となり、インスピレーションの流れの大本としてわたし達に次なる発見を求めています。それをどう受けとめ、どう扱うのか? 決めるのはわたし達自身です。


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        インスピレーションの流れ。その大本となる「いのちの力」には、元々「善」も「悪」も存在しません。だからこのエネルギーは実際、最善から最悪まで、どんな風にも使えます。殆ど考えなしに欲望のままにふるまうような、粗野で暴力的な言動を生み出すこともあるでしょう。それは野生の世界で自分の種を護るために獲物を狩ったり、交尾の権利や群のトップの座を得るために行われる、生死をかけた闘争のカタチを踏襲するものです。そしてわたし達は、今の世界にあっても、そのカタチを飽くことなく繰り返しています。たとえば政治や経済の世界。たとえば学問や言論の世界。ネットの世界でも、街中や学校、家庭内でも、毎日のように小さな闘争が起きています。ときには愛を巡る関係性の中で。あるときは、利他精神の仮面を被りながら。またあるときは、自分自身の中で。わたし達はそれを見て「これは善い」「これは悪い」なんて言います。確かに社会的に見て、または感情面から見ても、社会的な善悪は厳然と存在するように感じられます。ある面においては。けれど子細に見れば、それは単にわたし達が創り上げた社会の中で生きるいのちといのちが、ナナメに交差することで起きるぶつかり合いなのかもしれません。

もちろん、内部から湧き起こるインスピレーションを人生の選択に活かすことだって出来ます。ただし、ひらめいた物事が十分に発酵し、こころの中でさわることの出来る重みを持つまでゆっくり時間をかけたいと思います。今はまだ、細部を詰める時期ではありません。

また音楽や絵画、ダンス、パフォーマンスや詩的な表現など、アートとしてカタチにすることも、この新月期は大いに可能です。というより、「純粋ないのちの表現」としての創造行為を、惑星達は誘っているようです。


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  ただこの時期 — 特に水星が逆行し海王星とのコンジャンクションへと向かうさなかに太陽と月が海王星にコンジャンクトして起きる... そんな新月期。ひとによってはおそらく豊富なインスピレーションに恵まれそうなこの時期だけに、注意しておきたいことはあります。

たとえば、様々に錯綜する不確実な情報の中で、何をどう掴んでいいかわからないままに明確な理由もなく鬱々としてしまうひと。ジェリーの海の中で、疲労感や無力感に苛まれるひと。軽い夢見気分の雰囲気の中で、騙したり騙されたりのドタバタが目に付く世相に嫌気がさし、厭世的な気分になるひと。今回の新月は、とても複雑な力を孕んでいます。なのでネイタルの惑星や感受点でこのエネルギーを受けるひとの中には、その鋭い感受性のために大きなストレスを感じるケースが見られるかもしれません。

けれど、もしインスピレーションが暗い物語を紡ぎ出すなら、避ける、打ち消すというよりも、あえてそれをドラマとして見ていくこともアリだと思います。今見ているのは、固定された過去・現在・未来の物語ではありません。それは自分の物語でさえないかもしれないのです。たとえば、太古から蓄積されてきた人類のデータの断片に触れて、その刺激に自分の「いのちの力」が踊って創り出された一片の物語。今 リアリティーとして見えるものは、おそらく創造の力で何処かが歪められてる。けっして数々のファクトに基づいたものじゃない。とすれば、その想像力を楽しんでしまうのもOKでしょう。ダークなファンタジーを思いっきりゴシック・テイストで装飾してみるのもいい。もしも惨めな物語なら、とことん底が抜けるまで落ちていく物語にするのもいい。もう、ひとりで笑ってしまうしかないほどに。


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  けれどそれはリアリティーとは異なる領域のものだということを覚えておいてください。それはこの時期に向けて、創造そのものが歓んで創造し続ける陽炎遊びのようなもの。けれどそれと知ったうえでその遊びにつき合うなら、また新たなインスピレーションが湧くこともあるでしょう。そこにはランダムに見えても一貫してかいま見える、自分の癖や欲望のありようが顔を覗かせているかもしれません。また、実は今というときが何か大切な過渡期だったと気付くこともありそうです。だからこのことをよく知って、自分の中の「嘘」を罰さずに、ただ楽しみながら見ておくのが一番ではないかと思います。だってそこで踊っている「何か」は「あなたのもの」でも「わたしのもの」でもないのだから。(そういえば、今回の新月図では太陽と月が3室コミュニケーションのハウスに在泊します。これはメディアや報道を支配するハウスです。なのでこの新月期に流されるニュースには、ファクトに基づかないファンタジーや決めつけ、発信者の希望に基づいた憶測記事やゴシップめいた話題がいつもよりずっと多くなるかもしれません...。)

一方、過労気味のひと、悩みやストレスを抱えてここまで来ているひとは、なるべく休息を取り、体調にも気を配りましょう。楽しいものでもダークなものでも、この時期は夢見が促進されそうな星回り。なので、体を休めて睡眠時間をたっぷりとることも、正しい直観力を取り戻すきっかけになるかもしれません。いずれにしてもこの時期に無理を重ねることは避けたほうが良いと思います。

  また水星が海王星に近付くにつれて、今までにないほど音楽やドラマの一シーンにジーンと来て涙もろくなったり、感情が鼓舞されるようなひとが増えてくるかもしれません。たとえそれがひとに聞かせる・見せるための作り物だと知っていても、その中に人生の哀しみや歓びを生き生きと感じ取れる力も増大しそうです。もしそれが自分の人生とはかけ離れた物語だったとしても、そこから感じ取った「何か」は自分だけのもの。そしてその何かは、今まで気付かなかった自分を識るための扉かもしれません。そこには、きっと何かがある。けれどそれは、すぐに思い浮かぶような合理的な理由とはたぶん異なるもの。その後ろにひっそりと隠してきた何か...。遠い記憶の中で散り散りに飛び散ってしまった大事な何か...なのかもしれません。


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  もうひとつ。海王星と抱き合う魚座の新月と水星逆行というダブル効果で考えられるのは、記憶力や認知力の一時的な減退、または乱れです。それとともに、物事をクリアに理解するのに通常時より時間がかかるケースも考えられます。なので、通常の水星逆行に付きものの、思い違い、言い間違い、書き間違い、聞き違いには十分注意しましょう。「思い立ったらすぐ行動」タイプのひとは、踏み出す前にひと呼吸置いて安全確認を。メリマン・コラムにも書かれていましたが、コミュケーションは念入りに、ひとつひとつの細部を確実に抑えながら慎重に運ぶくらいでちょうど良いかもしれません。なんとなく思い当たるひとがいたら、記憶違いやど忘れを防ぐために、こまめにメモを取るようにしてみましょう。

また、場合によっては面倒なことを考えるのがしんどくなって、「こころここにあらず」的な状態になったり、やりたいこと以外に向ける強制的な集中力が落ちて仕事がはかどらない、ミスが出る...なんてこともあるかもしれません。そこは土星の底力に頼りたいところだけど、海王星にセクスタイルを形成する土星はルーティンワークの遂行というより、良くも悪くもクリエイティブな方向に力を奮いそう。たとえば拡がるイマジネーションを「作品」としてまとめる力になったり、その出来映えに感動したり共感を覚えたり。音楽に触発されて眠っていた感情が目を覚まし、何か行動を起こしたくなったり(良くも悪くも)。また、プロパガンダのために歪めた事実を巧みに脚色して広める力として働く場合もあります。

それでもこの時期、自分の状態をなるべく客観的に見て評価し、調子が落ちているならそれを周囲に理解してもらうことは集団の中で仕事をしているひとにとって大事なポイントかもしれません。この土星は、多少不器用ではあっても責任をまっとうするためのコミュニケーションには力になりそう。なのでこの時期にどうしても志向の合わない物事をしなければならないときは、ペースを落として時間配分を考え、インターバルを入れつつこなすようにするか、可能ならいつもより負担を軽くしてもらい、「ここまでは! 」と決めてきっちり責任を果たすようにしましょう。軽い嘘のつもりで誤魔化してしまうと、場合によっては露呈して気まずくなったり、ずるずると泥沼に嵌まってしまう怖れがあります。


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  と...あれ? 気付いたらサビアン・シンボルの話のはずが、いつのまにかアスペクトのほうに踏み込んでしまいました。もしかして、境界線無視の水星逆行&海王星効果に引きずられてしまったかも。。 ではちょっと戻って最後にベースのシンボルに少しだけ触れておきます。

この、メインのシンボルの土台となるベースのシンボルは...

新月のベースとなるシンボル:
魚座15°『兵の軍事教練に備える将校』


  これは一見、優しげな魚座にはあまり似合わない感じのイメージです。けれどここには『インスピレーションの流れ』を支える「いのちの力」をどう制御し、鍛え、整えていけば良いか? それをこれから自分の部下に身をもって伝えようと準備する将校の姿が描かれています。

軍隊は力と統制の世界。部下達は皆、いのちみなぎる屈強な若者達です。彼らを率いる将校はその手本となる存在であり、部隊の「顔」でもあります。戦争とは、基本的にいのちのやり取り。特にサビアン・シンボルが伝えられた時代の米国における戦争のイメージには、ミサイルが飛び交いサイバー・テクノロジーや人工衛星を利用するような現代的なイメージとは違い、もっと生々しい血と硝煙の匂いが立ちこめていたでしょう。人間対人間の、生死を懸けたせめぎ合いという要素が色濃かったのではないでしょうか。権益拡大のため、領土拡張のため、あるいはそれらを侵入者から護るため、または「平和」のための戦い。それは野生動物の縄張りをかけた激闘が複雑化した進化形だと言えるでしょう。(もっとも、今でも日本を一歩出て眺めれば、世界中多くの紛争地域に似たような光景が拡がっていると思いますが...)。


military


  さてこのシンボルの将校は、部下の兵達がいつどんな時にどんな敵と戦うことになったとしても、一つの部隊として命令の下に一糸乱れぬ行動を取れるよう訓練しようとしています。戦場では何が起きるかわかりません。おそらく、予期せぬ出来事のほうが多いと思わねばならないでしょう。敵はこちらの都合で動いてはくれないし、裏をかいてくるなら裏の裏まで読まねばなりません。そのあたりは指揮官としての上級将官の責任範囲。けれど一旦前線に出て想定外の事態に直面したとき、兵達は沈着に動けるでしょうか? 日頃の訓練どおり、いえその成果を応用して思わぬ事態に適応し、命令を着実に遂行出来るでしょうか? この将校は、これから新兵達の手本としてその厳しく揺るがぬ軍人らしさを見せようと、今 怠りなく準備しているのかもしれません。

  原文の「drill」ドリルとは、基礎訓練/教練のことです。その中で新兵達は、上官への挨拶の仕方、立ち方、行進の仕方、武器の取扱い、体力訓練、日々の行動規範などを徹底的に厳しく叩き込まれます。これはまだ戦闘訓練にも至らない、基礎中の基礎の段階。けれど、おそらくこの段階で、すでに兵士としての「質」が決まってしまうのかもしれません。それは「いのちの力」を定められた目的に従って乱れることなく使うための訓練。どんな状況にあっても我を忘れることなく、一瞬の迷いや躊躇もなく正しい選択を出来るように自分自身を鍛える訓練。それが出来ていなければ、その兵は自分ばかりか部隊全体を死の淵に追いやるかもしれません。だから兵達は、少なくとも軍隊にいる間は自分のアイデンティティーの第一義を「軍人であること」に置くよう求められるのです。


 基礎教練を洗練されたパフォーマンスに昇華した米国空軍儀仗兵のドリル


  こうして見ると、メインのテーマとなる『インスピレーションの流れ』。そしてその土台となる『兵の軍事教練に備える将校』。この二つのイメージの繫がりはとても明確ではないでしょうか? 

  突然の刺激とそれに応じて湧き起こるインスピレーションの流れ。その流れをキャッチし、識別し、想い、使う主体としての「わたし」。いつ果てるともしれない半透明のジェリーの海に囲まれ、ともすると幻の呼び声や意味ありげな涙、偽物の熱や情の嵐に惑わされそうになりながら、興奮し、駆け巡り、踊ろうとするいのちの力。その力にただ翻弄されることなく、自分で在り続けること。それは理詰めの思考ではなく、爆発する感情でもなく。それはただ「自分であること」そのものを通し、外界の様々なインパクトと溶け合いながら自然に湧き起こるインスピレーションの流れ。それをこそ、生きてみる。遊んでみる。醒めながら。そして同時に「森のひと」でもありながら...。 

もしかしたら、そんな「わたし」を支えるのが日々のドリルなのかもしれない。でも、自分にとってのドリルとは何だろう? 「わたし」が揺るぎなく「わたし」で在り続け、常に「わたし」としての道を歩むために必要な、自分だけの「ドリル」って...? もしそれが「わたし」の「質」を決めるのだとしたら?


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  その答は本当にひとそれぞれだと思います。それは何か具体的な物事を継続してやり続けることかもしれない。またもしかしたら、目に見えずことばにも表せない胎内宇宙のうねりに関わる何かなのかもしれません。

  この濃密な新月期。いつ、どこで、どんなインスピレーションが湧いてくるだろう? 準備は出来ているだろうか? うん。たぶん。きっと。永遠に止まないその流れを体に感じ、味わい、踊らされず。ただわたしの踊りを踊りながら、この道を行く。
 


  .....そしてある日。なにげなく眺めていたミュージックビデオの中に突然、フラッシュが走り、何か違うものが映る。たった一瞬の目の錯覚? そう、それはすぐに消えてしまった。それが何だったかを記憶に留める暇もなく。でも。その瞬間、確かに見た。感じた。「何か」を。

ことばじゃない。カタチでもない。あれは何だったんだろう? もうわからない。でも確かに生きた何かだった。生きていた。それが何を意味するのかわからない。存在? 影? 光? 何とも呼びようのない何か。でもそれはそこに、フッと在った。わたしは何を見たのだろう? それは...たぶん... わたしにしか解らず、わたしにも解らず、永遠に解釈を拒み、それでも「わたし」としか呼びようのない何かだった...。



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have a great trek!!!★

hiyoka(^_^

hiyoka_blue at 20:59|PermalinkComments(0)新月(満月)の星読み | パーソナル・アストロロジー

March 03, 2019

レイモンド・メリマン 週間コメント3/4【金融アストロロジー】

http://www.mmacycles.com/
レイモンド・メリマン・コラム  2019年3月4日(フリー版より)

翻訳:hiyoka
文中の日付・時間はすべて米/東部時間です。
自身の学習のための翻訳文です。日本語になりにくい箇所は意訳があります。また知識不足による誤訳があるかもしれません。原文は上記サイトで無料で閲覧できますので、よろしければそちらもご参照ください。またご意見やご感想、間違いのご指摘などいただけましたら嬉しいです。また投資日報社さんでは無料コラムには記載の無い情報や、文中のメリマン用語の解説も掲載されるそうですので、そちらもぜひご覧ください。 翻訳者はこの記事をアストロロジー学習者向けのエッセイに近いものと捉えています。詳細な相場予測や何らかのトレードを推奨するものではありません。投資に関するアドバイスをお求めの方は投資日報社さんまたはMMAサイトにて講読版をお求めください。また文中の は翻訳者によるものです。原文が "ファンキー" な時は、時々お節介な訳注が入るかもしれません。
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今週のコラムは ≪ 先週を振り返って ≫ を省略し、≪ 短期ジオコズミクスと長期的考察 ≫ のみの抄訳とさせていただきます。なお、 ≪ 先週を振り返って ≫ のパートでは、パウエルFRB議長が示した(中国、ヨーロッパとの貿易に高まる緊張のリスク、英国のブレクジット問題なども含む)今年終盤に向けての懸念を冒頭に、特に世界の株式市場に見られる木星・海王星スクエアによる楽観的反応などに言及しています。


≪ 短期ジオコズミクスと長期的考察 ≫

  “FRB前議長ジャネット・イエレンは、ドナルド・トランプ大統領が経済政策というものを、いやFRBが持つ権能さえも理解しているかどうか疑わしいと語った。『彼の知識はFRBの目的を最大の雇用創出と物価の安定にあるとさえ言ってしまえる程度ではないかと私は疑っている』。イエレンはラジオ番組『マーケット・プレイス』のインタビューにこう答えた。彼女は語る。『このようなコメントは、"経済においてFRBが持つインパクトと適切な政策目標に対する理解の欠如" を物語るものだ』。月曜に報じられたインタビューの中で、トランプがマクロ経済政策を理解していると思うかと尋ねられたイエレンはこう答えた。『いいえ、そうは思いません』。”

— Martin Crutsinger
  “Yellen Critical of Trump’s Grasp of Economic Policy”
  Associated Press(AP) 2019年2月26日付

  “ジャネット・L・イエレンは今までで最も適格なFRB議長だったし、おそらく最も上手く役割を果たしたFRB議長だった。だがある一部分において適格でなかったため、トランプ大統領によって再任命されることはなかった....  つまり彼女は今までで一番背の低いFRB議長だったのだ。ワシントンポストによれば、トランプはFRBをジェットコースターによく似たものと認識しているらしい。つまり背が高くなければ危なくて乗れないわけだ。特に彼は5フィート3インチのイエレンについて、これまでの4年間彼女が非常に良くやってきたにもかかわらず、その仕事をするには背が低すぎると思ったようだ....  これは愚の骨頂というものだろう。”

— Matt O’Brien
  “Trump Thought Yellen was too Short to be Fed Chair:
  That’s Not How Any of this Works”
  ワシントンポスト 2018年12月3日付


  今週は宇宙的パースペクティブから見て最も興味深い週となるはずだ。事実上、この時間帯は3月1日金曜、金星(お金と愛情)が天王星(予期せぬ事、ボラティリティ、混乱や崩壊、突然の変化)にウェイニングスクエアを形成した時から始まった。元々このアスペクト自体が、前後4取引日の内に株式指数など多くの金融市場に起きるリバーサルへの相関性を持っている。

  3月5日火曜(日本時間6日水曜未明)には水星が魚座で3週間にわたる逆行運動をスタートするが、これは奇妙な期間になりそうだ。何故ならこの「トリックスター」が魚座を運行する間に3回も海王星とコンジャンクトするからだ。海王星と魚座はインスピレーションを支配する。だが魚座に在泊する時、水星は働きが弱くなる(デトリメントまたはフォール)。だからこの期間に為される情報伝達の試みはどちらかというと降って湧いたインスピレーションに基づくものか、あるいは説教じみたものに近くなる。ファクトやリアリティに基づいたものとは言い難い。

その結果として考えられるのは混乱や当惑、または事実として流されたニュースに間を置かずして事実とは異なるという異議が出され、事実上のミスリードや矛盾した話として伝わるといった具合だろう。たとえば先週の "トランプ・金正恩会談" にまつわるニュースと終了後の報道がどうだったかを思い起こしてみると良い。それは単に、今後3〜4週間に予測される事柄の予告編に過ぎない。換言すれば、再び『あなたはいったい誰を信じるか?』という命題をはらむ数週間になるということだ。今月は「真実」を捉えようとしてもかなり難しいことだろう。

  今週は3月6日に魚座の新月が起きる*。これは同じ魚座で水星が逆行を開始した翌日、海王星にコンジャンクトして起きる新月だ。だから物事が新月で明解になるなど期待出来ない。この新月期はたとえどんな人間であれ、次の事柄に気を付けることを強く薦めたい。すなわち、何かを口にする前によくよく考えること。そして喋り終えたら、自分の言った言葉の意味を相手が正しく理解したか確認すること(相手が言った事を自分が正しく理解しているかも当然確認すべきだ)。あなたがブローカーに『売りだ』と伝えた時、本当は『買い』と言ったつもりではなかったか? 自分の母親に電話したつもりで、秘書(または上司)に『愛してるよ』などと言ってしまわないか? もしかするとあなたはそんな事をするかもしれない。それも無意識のうちに、気付かないままで。海王星と魚座は人間の「無意識領域」に強く作用する。そして両方とも「眠り」を支配している。これに逆行の水星が絡むことを考慮すると、おそらく睡眠中に多くの夢遊病的行動が出たり、寝言で甘い言葉が囁かれそうだ。この時期は自分を不用意に曝して自らを揉め事に巻き込むことのないよう、なるべく一人で寝るほうが良いかもしれない。
*新月:日本時間 3月7日 午前1時4分前後

  だがもしあなたがトレーダーなら、場中に寝てはいけない。何故なら今週は天王星も活発に働いており、そのため価格変動のスピードが速くしかも激しいからだ。そして水星逆行のせいでその度合いが倍にもなる。知ってのとおり、トリックスターは即座に気が変わる。その時もし躊躇していれば、機会はすぐに失われるのだ。ルールも境界線も、この海王星・魚座・水星逆行という三羽烏の下ではぼやけて不鮮明になる。しかしながら、直観を働かせるには非常に良い時だ。それはインスピレーションにも少し似ているが、いわゆる「情報」に関してはそう信頼がおけるとは言えない。だから他者の指示には従わず(彼らはあなたを混乱させるだけだ)、自分自身の本能的直観力を信じるほうが良いだろう。「(他者ではなく)自分自身にとって — 何が正しくて何が間違っているか」これに尽きる。

今週は「トレーディング」に関する限り、決断力を発揮して素早く行動出来る者にとっては良い報酬の機会となるだろう。価格の変動幅は大きくなるかもしれない。だがそれを捉えるチャンスは分単位ではなく秒単位で過ぎ去る。大体、こと「トレード」において決断に数時間もかけるヒマがあると考えるなら、それは希望に基づくファンタジーに過ぎない。そう考えてみると、これは現在の宇宙が描く構図とそのメッセージを表現するもう一つの言い方となりそうだ。

すなわち『絵柄を楽しめ。文字は気にするな』だ。






訳文ここまで
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hiyoka_blue at 20:54|PermalinkComments(0)金融アストロロジー